七日付の各紙は、福島第一原発の事故でほぼ全域が避難区域になった福島県楢葉町で、避難指示解除に向けた長期宿泊が始まった、と報じた。北海道新聞を引用する――

 (前略)原則3カ月間実施される予定で、これまで認められなかった夜間滞在が可能となる。宿泊を始めた住民からは「この日が来るのを待っていた」と喜ぶ声が聞かれた。

 政府や町によると、住民2712世帯7415人(3月末時点)のうち、5日までに182世帯382人が宿泊を届け出た。

 (中略)楢葉町は昨年3月に町内の除染が一巡。宅地の平均空間放射線量は毎時0・3マイクロシーベルトで、除染前の約6割に低下した。町は今後、宿泊世帯に保健師を派遣し、住民の健康状態などを確認する予定。(後略・引用終わり)

 毎日新聞が同様の記事に添付した「避難区域」の解説を引用する

 ――(福島第一原発が2011年12月に冷温停止状態となったため、政府は12年4月から警戒区域と計画的避難区域を帰還困難区域(年間積算放射線量50ミリシーベルト超)▽居住制限区域(同20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)▽避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)――に順次再編。線量の低い区域から除染など帰還に向けた事業を始める一方、線量の高い区域ほど賠償額を高くした。楢葉町は12年8月、住民が居住する全域が避難指示解除準備区域となった。(引用終わり)

 国と東電は、原発事故から四年が過ぎたのを機に、本格的に人体実験を開始することを決めたようだ。

 少し前に発刊された「美味しんぼ『鼻血問題』に答える」(雁屋哲著・遊幻舎)を読んだ。表紙の帯には、被災地を背景にした著者の写真と、「何度でも言おう。『今の福島の環境なら、鼻血が出る人はいる』これは“風評”ではない。“事実”である」の文字がある。

(工藤 稔)

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