過日、所属している経営者の団体の新年度の総会が札幌であって出席した。そこに、高橋はるみ知事が来賓として登場し、挨拶した。まぁ、取り立てて言うほどの中身ではないのだが、北海道経済の現状と先行きについて語り始める段になって熱が入った。「電気料金の二度にわたる値上げが景気に悪影響を及ぼしている。電気料金の値上げは一般家庭にも、企業にも、富裕層にも、低所得層にも、等しく負担を強いる、逆進性がある。これ以上の電気料金値上げは北海道の景気をますます悪くする」という趣旨だった。
高橋知事が、総会を含めてこの団体の会合に出席するのは、本人が「何年ぶりでしょう…」と言葉を濁したから、初めてのことだったかも知れない。鹿児島 川内一・二号機、福井 高浜三・四号機、佐賀 玄海三・四号機、愛媛 伊方三号機、福井 大飯三・四号機など、全国で原発再稼働の動きが急だ。北海道も遅れを取ってはならない。元通産(経産省)官僚として、親分の町村信孝衆議の強い後押しで知事となり、史上初の四選に挑んだ理由の一つは、泊原発を早く再稼働させることだったろう。そのためには、顔を出したことのない団体の会合にも足を運んで原発再稼働の必要性を訴える、見上げた執念だと恐れ入った。
政府は、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定について、自治体が名乗りを上げるのを待つ従来の公募方式から、国が候補地を示す国主導の選定に変えると決めた。狙われるのは、首都圏・大都市から遠く離れた、生産性が低い、人口が減り続ける過疎地だ。高橋知事四選のもう一つの目的は、国と呼応して最終処分場を北海道に持ってくることじゃなかったのか。枕はここまで。

(工藤 稔)

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