七月二十三日付の朝日新聞「声」欄に載った一通の投書がSNSを通して若者の間に広がり続けているのだそうだ。国会前デモや集会で読み継がれ、お守りのように持ち歩く学生もいるという。

 その投書は、私も読んで覚えていた。ちょっと長いが全文を紹介する。

 ――加藤敦美 無職 京都府 86歳

 安全保障関連法案が衆院を通過し、耐えられない思いでいる。だが、学生さんたちが反対のデモを始めたと知った時、特攻隊を目指す元予科練(海軍飛行予科練習生)だった私は、うれしくて涙を流した。体の芯から燃える熱で、涙が湯になるようだった。

 オーイ、特攻で死んでいった先輩、同輩たち。「今こそ俺たちは生き返ったぞ」とむせび泣きしながら叫んだ。

 山口県・防府の通信学校で、特攻機が敵艦に突っ込んでいく時の「突入信号音」を傍受し、何度も聞いた。先輩予科練の最後の叫び。人間魚雷の「回天」特攻隊員となった予科練もいた。私もいずれ死ぬ覚悟だった。

 死ねと命じられて爆弾もろとも敵艦に突っ込んでいった特攻隊員たち。人生には心からの笑いがあり、友情と恋があふれ咲いていることすら知らず、五体爆裂し肉片となって恨み死にした。16歳、18歳、20歳……。

 若かった我々が、生まれ変わってデモ隊となって立ち並んでいるように感じた。学生さんたちに心から感謝する。今のあなた方のようにこそ、我々は生きていたかったのだ。(引用終わり)

 八月二十一付朝日夕刊は次のように伝える。

 

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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