パリで起きた同時テロ事件のニュースを見たり、読んだりしながら、日本は島国で、皮膚や髪や目の色が同じようなヒトが多いから、海の向こうのテロリストが紛れ込むのは難しいだろうけど、それでもテロの災禍に遭う可能性はあるだろうな、と思う。まして、「世界の警察」を自称する米国の同盟国、借金を厭わず軍事費を肩代わりする都合のよい子分を宣言しちゃってるんだから、ISやら、アルカイダやらの標的にされても不思議ではない。もしかしたら隣国の独裁者が狂っちゃうことだって無きにしも非ず、かな。

 テロリストになった気分で、日本を狙うとしたら、どこを、どんな方法で、と考えてみる。それは、迷うことなく原発ですね。それも空から。首相公邸の屋上にドローンが落ちても誰も気付かないほど無防備な国だもの。ハイジャックした飛行機で、ドッカーン…。二〇〇一年九月十一日の米国同時多発テロを思い出し、恐怖する。パリの事件がなくたって、敵対する他国が日本滅亡を画するとすれば、狙うのは原発じゃなかろうか、と考えるのがリスク管理の常道だろう。さんざん安全保障環境の変化を喧伝し、憲法違反のそしりを受けてまで安保法制をごり押しした政権だもの、原発こそ標的になると見るべきじゃないか。

 ところが、間が悪いというか、ノー天気といおうか、パリの事件前日の十三日、原子力規制委員会は、原発にテロ対策施設を設置する期限を延期すると発表した。新聞に小さな記事が載ったから、読んだ方もいるだろう。

(工藤 稔)

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