三泊四日の日程で、台湾に行って来た。所属する任意団体の研修旅行、と言っても、まあ懇親・観光の旅だ。毎年この時季にあって、今年は三十回の節目という理由で海外になった。国内の旅行でも、我が身、我が社会の「ありよう」を振り返らされる事象に多々遭遇するのだけれど、今回も身にしみることが何点かあった。

 その一つがトイレ。三泊とも台北市内の同じホテルに連泊した。現地ガイドによれば、各部屋に温水洗浄便座、いわゆるウォシュレット、あるいはシャワートイレが設置されている「ラッキーなホテル」とのことだった。確かに、その後案内された、一時は「世界一背が高いビル」で名を馳せた、数多の有名ブランドが店を構える「台北一〇一」のトイレも、極めてファッショナブルで清潔だが、温水洗浄便座ではなかった。加えて、「使用した後のトイレットペーパーは決して便器に処分してはならない」という彼の地の常識に、いささか戸惑った。理由は「詰まるから」。使用後の紙は便器の傍らに用意されている、それ用の箱に収納しなければならない。厳格な決まりである。

 「日本人くらい、旅の途中でトイレタイムを要求する人種はいない」みたいな説を読んだ覚えがある。今回の旅行でも、バスが立ち寄るところでは必ず、ガイドはたっぷりトイレタイムを取った。我ながら驚いたのは、ウォシュレットがないのと、台湾式紙使用ルールのせいで、生理的欲求がセーブされてしまった事実だった。つまり催さない。子どもの頃はそれ用に切った新聞紙を使ったし、東京の学生時代も“ボットントイレ”のアパートは普通だった。その自分が、たかがウォシュレットの欠如ごときに身体がビビルなんて。ああ情けない…。そんな台湾旅行でありました。食事時に読んで下さった方はお許しを。枕は、ここまで。

 前号(九日)一面で、旭川大学の公立化について報道した。新たな学部を設けて公立化するという旭川市の方針に対して、現・市議会の中に反対する会派が少なからずあり、西川将人市長が市議選(二十一日投開票)の前に議会で公立化に前向きな発言をする機会を認めなかった、という内容だった。北海道新聞が、そうした議会の“思惑”、あるいは“構図”を一切解説することなく、旭川大学の二〇二一年公立化が決まったかのような、不思議な記事を六日付一面に掲載したことも併せて報じた。「不思議」とは書かなかったが。

 恐ろしいもので、私が公立大学開設の運動にいささか関わっているのを知っている複数の友人から、「よかったね」、「やっと前に進むんだね」などとメールや電話をいただいた。本紙の記事には、旭大の公立化に慎重な議員の反発の声も載せたのだが、道新一面の「旭大 21年市立化」「23年春新学部も」の大見出しは絶大な説得力をもったらしい。今後、議会の抵抗がさらに強くなる、あるいは構想そのものが潰される事態を恐れる。

 その旭川大学の公立化について、読者からメールが届いた。議会の会派の中には、「公立化してレベルが高くなると、地元の高校生の進学先が減る」という表現で、暗に「入学しやすい旭川大学はこのままで」と主張する向きもある。この企業経営者は、そんな意見とは対極にある大学像を提案する。私も同感するところ大である。こうした方たちの声を聞き、議論する場を早急に設けるべきだろう。メールを紹介する。

(工藤 稔)

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