小欄の読者からメールが届いた。市政に強い関心を持つ、七十歳代の方である。旭川市立大学に二〇二六年春に新設される「デザイン系の学部」について、旭川大学が市や市議会、市民団体「旭川に公立『ものづくり大学』の開設を目指す市民の会(伊藤友一会長)」の三者が十年にわたって積み重ねた議論の経過を無視する形で計画を押し進めようとしている事態について、弁護士で市議の高橋英俊氏(自民党・市民会議)がフェイスブックにアップした投稿文に対して、皮肉を込めて「注釈」をつけている。全文を紹介しよう。

 高橋市議のfacebookでのご意見に対して、小生お得意の『脚注の挿入』を使って少しばかり反論を試みてみます。「裁判長! 異議あり!」てな感じで…。

高橋 ひでとし 6月28 日
                                                                            ◇
 補正予算等審査特別委員会において、旭川市立大学施設整備補助金を含む補正予算案が賛成多数で可決し本会議へ提出される運びとなりました(1)。
 同補助金については、新学部のデザインの名称削除やカリキュラム変更に対し、某市民団体から反発があったところですが、同委員会での審議の結果、そのまま可決となりました。
 率直に申し上げて、私には一つ残念なことがありました。それは、本委員会において、私を含む各会派の委員が、本件問題を真剣に考え各々質疑したにもかかわらず、上記市民団体の方の傍聴がほとんど見られなかったことです(2)。
 ところが、委員会質疑終了後の取りまとめの段階となって、なぜか同市民団体を代表するらしき方が突如議会内に現れて各会派控室をまわり、補正予算案反対の方向へのロビー活動(3)みたいなことをしていたように看取されました(4)。
 結局、同市民団体は、本件問題の議員達の真剣な委員会での質疑には興味がなく、単に自分たちの主張だけが絶対でありそれを押し通そうとしていたにすぎなかった(5)のではないか、との疑問を抱かざるを得ませんでした。
 本来、たとえ意見の相違があっても、本件について真剣に考えて質疑をする議員の意見や主張をしっかり傍聴して理解するよう尽力し(6)、それらを踏まえ、理論調整をして自らの見解の実現のために会派をまわって交渉、説得する(7)のがあるべき姿勢ではないでしょうか。

【脚注(1)~(7)】
 (1)結論、この場合は特別委員会での議決を「賛成多数」で可決と結論付けての論理展開は、後に書かれている「各会派の委員が、本件問題を真剣に考え各々質疑した」とのあなたの私見・受け止めを単に正当化するための書き出しであり、真に議論を深めようとする疑義者の声を無視せんとの策略的な文章であり、冒頭文(二行)は削除すべきです。
 (2)事後談としての文章に、立腹します。過去歴史のある事案であるにもかかわらず、本委員会における審議のみを「…真剣に考え各々質疑…」とするならば、この事態に及んだ責任の一切は議会及び現議員にはないと主張するものであり、断じて許しがたい文章である。しかも、議会においては『傍聴者』であり、一切の意思表明の権利すら制限されていることは議員御承知のはず。単に会議傍聴すれば納得できるとでも錯覚されておられるのだろうか。
 (3)「ロビー」とは議会の院外団による活動とされるものの、今日では「ロビーイング」との言葉さえ定着しており、あえて「みたいな」と卑下するように取られかねない文面にはいささか正確な状況を伝えることとはならないものと危惧する。
 (4)第三者があたかも「看取」したかのような書き方ですね。もし「あなたご自身が看取」したなら、「看取しました」とすべきです。
 (5)おやおや否書き文に驚きます。仮にそうであったとしても、その考えで行動することをいささかも制限してはならない事くらい民主主義を語るものとしてはご存知だと思います。それを「疑問」とするならば、そのことこそ疑問と言わざるを得ません。
 (6)これまた一方的なものの見方・考え方を市民に押し付けようとしているように読んで取れます。ズバリ言って「傍聴して理解する」ことを要求するのであれば、傍聴すらしていない圧倒的多数の市民はどうすればいいのでしょう。議員が真剣に考えて議論し可決したんだから、事後の反論は聞くに及ばずということでしょうか。それってあなたがおっしゃる「民主主義」なんでしょうか。
 (7)なるほど、会派を回って説得することをお勧めされているのですね。ズバリ申し上げますが旭川市議会の議会の会期は年間何日間ですか? その会期内で本会議などと数日間の委員会があるだけですね。休会中の皆さんに、どうして会派を回って説得できますか? 今回の一場面でそのような判断があたかも正当な議会と市民との関係のようにおっしゃることに、強い違和感を禁じ得ません。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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