SNS上で、昨年九月二十七日に東京・千代田区の日本武道館で執り行われた故・安倍晋三元首相の国葬について、その是非を問う声が広がりつつある、という。「やっぱり、国葬は間違っていたのではないか」「今からでも投じた国費を返却するよう求めたら」など──。

 岸田政権誕生以降、安倍元首相自身や安倍派絡みの醜聞が続出しているからだ。直近では、今月五日付朝日新聞が写真付きでスクープした一面の記事。岸田文雄首相が自民党政調会長だった二〇一九年に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の傘下団体トップと面会していたとされる問題で、その面会は当時の安倍首相の要請だったと複数の岸田政権の関係者が証言したと報じられたこと。

 二つ目は、自民党の主要派閥の資金集めパーティーをめぐる「キックバック」「裏金作り」問題では、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)で関与した所属議員が数十人にのぼり、そのうち複数の議員は還流分が五年間で計一千万円以上になる可能性があるとの報道。

 さらに、公表された政治資金収支報告書から、安倍氏の妻、昭恵さん(61)が安倍元首相の資金管理団体の代表を引き継ぎ、そこに安倍氏の五つの関係政治団体から計二・一億円が寄付されていたことが判明。政治家ではない「私人」の昭恵さんが巨額の政治資金を引き継いだことに対する疑問の声が上がっている。

 また、東京五輪の招致活動をめぐって、当時、自民党衆院議員で、安倍派に所属していた馳浩・石川県知事が講演で、開催都市決定の投票権を持つIOC(国際オリンピック委員会)の委員に対し、官房機密費(内閣官房報償費)を使って一冊二十万円のアルバムを作り、贈答品として渡していた、などと“暴露”した。この時「必ず勝ち取れ」「金はいくらでも出す」「官房機密費もある」と発破をかけていたのが安倍元首相だった。
 私などは、何を今さら、と思う。「国葬」が行われる前の昨年八月末、「あの“ウソつき元宰相”の『国葬』に2億5000万円ですか…」の見出しの小欄の記事の冒頭を紹介しよう。安倍元首相の支持者やファン、あるいはシンパシーを抱く方は飛ばして結構。

(工藤 稔)

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