このオジサン、人に嫌われたい、嫌われるのが好きなのかも知れない。オジサンの口癖を真似してみれば、「いわゆる」マゾヒストなのかな。以下、東京新聞ウェブ版一月三十日の記事を引用しよう。

 ――自民党の麻生太郎副総裁が講演で、上川陽子外相の容姿について「おばさん」「そんな美しい方とは言わない」と言ったことが、「ルッキズム(外見至上主義)だ」として波紋を広げている。
 上川氏は三十日、閣議後の定例の大臣会見で、記者から麻生氏の発言への見解を問われると、「様々な意見があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている」と受け流した。
 上川氏は会見で、「私としては国民に理解をされ、国民から支持される外交を展開していくということに専心しており、これからも日々努力をしていきたい」とも語った。
 「どのような声もありがたく受け止めている」との発言と併せて、「このことを申し上げるという形で、お答えとさせていただきたいというふうに思っております」と述べるにとどめた。
 麻生氏の発言は、二十八日に福岡県内の講演で出た。上川氏の外交手腕を高く評価する発言の中で、「このおばさんやるね」と評し、「そんなに美しい方とは言わんけれど」と容姿に言及していた。
 上川氏は、衆院静岡一区選出で当選七回の七十歳。東大卒業後、三菱総研研究員を経て、米ハーバード大の行政大学院を修了。米上院議員の政策立案スタッフとして活動した経歴がある。

 同じく東京のウェブ版二月二日の記事。

 ――上川陽子外相は二日の参院代表質問で、自民党の麻生太郎副総裁から「おばさん」と呼ばれたことに抗議しないのかを問われ、「世の中にはさまざまな意見や考えがあることは承知している」と述べるにとどめた。質問に正面から答えていない上川氏の答弁に対し、野党側が抗議し、議事は一時中断した。麻生氏は同日夜「表現に不適切な点があったことは否めず、指摘を真摯に受け止め、発言を撤回したい」とのコメントを発表した。
 立憲民主党の田島麻衣子氏は代表質問で、麻生氏の発言を問題視しなかった上川氏の対応について「同じ境遇にある女性たちも同じように対応しなければならないと感じるリスクはないか」「問題があるとすれば何か」「なぜ大臣は抗議をしないのか」と質問を重ねた。
 上川氏はこれらの問いに直接答えず「初当選以来、信念に基づき、政治家としての職責を果たす活動にまい進してきた」と説明。現在は紛争解決や平和構築の分野で女性参画を進める「女性・平和・安全保障(WPS)」の定着に向け、力を注いでいるとも語った。
 その上で「使命感をもって一意専心、(日本人初の国連難民高等弁務官を務めた)緒方貞子さんのように脇目もふらず、着実に努力を重ねていく考えだ」と強調し、「田島議員、ぜひWPS、一緒に頑張りましょう」と締めくくった。(後略・引用終わり)

 上川外相は岸田派に所属しているが、麻生氏とは仲良しだそうな。現内閣の外相に“押し込んだ”のは麻生氏だという評判だ。ただ、件の講演で名前を二回も「カミムラ」と間違えたというから、さほどの仲良しでもないのか。権謀術数が渦巻く政界で八十三歳になっても権力の座に居座り続けるオジサンの発言の真意は理解しかねる。が、上川氏の“受け流し方”がなんだか優等生過ぎて気持ち悪い。一部には「大人の対応」と評する声もあるやに聞くが、立憲民主党の蓮舫参院議員(56)はXに「大人の対応ではないでしょう。毅然と『おかしい』と指摘することこそ大人の対応です」と書き込んだ。東京新聞によれば、共産党の田村智子委員長も記者会見で上川氏の答弁について「ジェンダー平等を進めようという立場なら、きちんと批判すべきではないか」と語ったそうだ。

 スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」が公表した、二〇二三年の男女格差を表す「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は〇・六四七。世界百四十六カ国の中で百二十五位だった。

(工藤 稔)

(全文は本紙または電子版でご覧ください。)

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