昨年末、近文町にお住まいの読者M氏からファクシミリが届いた。パソコンでプリントアウトされた手紙には「小中学校にエアコンは必要か」とタイトルが付されている。以下、本文。

 ――今年の夏の猛暑に懲りて(?)市は市内小中学校の全ての教室にエアコンを整備することにした、という。
 私は、いかがなものかと思う。いかに学校へ行けばエアコンがあるからといっても、通学路は舗装道路の炎天下である。木陰になるはずの街路樹も、最近は電線の邪魔だ、落ち葉が迷惑だ、虫がつく等で枝切り、伐採され、半殺しの街路樹で木陰の用をなさない(このような施策が猛暑を引き起こす誘因になっていると思うのだが)。
 私の近くの小学校には登下校に一時間歩く子がいっぱいいる。気温が三十度Cになれば路面温度は四十度Cにもなる。輻射熱で通学中に熱中症になる可能性は充分ある。そんな危険を冒してまで学校へ行く必要があるのか?
 猛暑が予想される日は、臨時休校とすべきである。これが一番の省エネ猛暑対策である。
 私の独断と偏見であるが、エアコンが普及すればするほど猛暑日が増える。それはエアコンの廃棄熱が建物の周りの外気熱を上げているからである。(引用終わり)

 この七十代の男性読者M氏のご指摘通り、旭川市は昨夏の猛暑に懲りて、二〇二三年度から二七年度までに、全市立小中学校七十四校の保健室や教室、職員室、多目的教室にルームエアコンや簡易クーラー、遮熱カーテンを設置すると発表した。国からの補助があり、市債と一般財源も含め今年度に六億二千万円余の補正予算を組む。市教委学校教育部によれば、二七年度までに全七十四校に設置を終える計画だ。

 M氏のご意見にも一理ある、とは思うが、ここ数年の旭川の夏の暑さには異常なものがある。これって地球温暖化の表れかな、とも思えるレベルだ。

 振り返れば一九六九年、最北の高校を卒業して上京した初夏、私は梅雨明けの暑さと湿度に度肝を抜かれた。二十五度Cになれば、「暑い」と感じていた稚内人の感覚からすれば、サウナの中で暮らしているようなものだった。息ができない。あわててスーパー西友に買いに走った扇風機を回しても、熱風が吹き付けるだけ。

 ネットで調べてみたら一九六九年当時、東京の七月の平均気温は二十八・七度C、最高気温は三十六・六度C。それが昨年二〇二三年七月の平均気温は三十三・九度C、最高気温は三十七・七度Cである。比べてみると五十五年前は、涼しかったのだ。

 

(工藤 稔)

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