胸を張って読んでいただけるようなネタがありません。年寄りの日記のようなものと思って読んでください。よろしくです。

 ホットサンドイッチを焼く機械が壊れた。ずい分長く使っていて焼き面が劣化し、家人と何度も「買い換えようね」と話していた。実際にホームセンターに行ったついでに電気製品コーナーを覗いたりしたのだが、見つからなかった。

 ついに故障したペンギンの形をしたホットサンドメーカーは、家人が購入した。「安売りで九百八十円だったのよ。ここに引っ越して来てすぐだから、二十年以上は使ったのね」と家人。ある週末、神楽岡の施設にいる母親の顔を見に行った帰途、電器店に行くことにした。珍しく家人も素直に同意した。

 この手の店に二人で入るのは、おそらく初めて。駐車場は結構な混みようだ。滑るからエスカレーターまで手をつないでヨチヨチ進む。二人でキョロキョロ。「二人とも歳をとっちゃったわねぇ」と小声でささやく家人。何が目当てなのか、かなりの客がいる。広い売り場は苦手。こんなときは、店員を探して聞くに限る。あったあった。大きさも、色も価格も様々なホットサンドメーカーが並んでいる。ちょっと悩んで、赤い色のシンプルな型を選んだ。値段は六千円ちょっと。取り替え可能なワッフルの焼き台が付いている。

 支払いのとき、女性店員に千円くらいで会員カードをつくるとポイントがつくとかなんとか勧誘されたが、ジイサン・バアサンはややこしいことは嫌い。ポイント何とかも、基本的に好きでないから、やんわり断る。

 翌日、寝坊してちょっと遅めの朝食、ちょっと早めの昼食は新しい機械の使い初め、ホットサンドをつくった。中身は、ゆで卵とレタスとキュウリ、溶けるチーズを少々。短時間で、素晴らしい焼き具合だ。「きれいに焼けるわぁ」「早く買えばよかったのにねぇ」と、いい歳をして、二人ではしゃいだ。

 第二話。この冬、雪道で転んでくるぶしを骨折し、一人で外に出るのを控えている家人が、私が髪を切りに行くときに一緒に行きたい、と言い出した。私はここ何年か、散髪は知り合いの美容室で、と決めている。洗髪も、耳の掃除も、顔そりも、マッサージも一切なし。三十分でサッと終わる。楽なのだ。
 家人は大病を患って以来、病院内の美容室に通っていたのだが、その店が閉店したとかで、一時期、徒歩で行ける近くの千円カットの店を利用していた。だが、一人で歩いて行くのは無理と判断したのだろう。

(工藤 稔)

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