札幌のりんゆう観光(植田英隆社長)は、三浦さんの特集を組んで二十一年前に発行した冊子「カムイミンタラ」の英語版を刊行し、三浦綾子記念文学館に贈った。日本語の復刻版は昨年五月に完成していたが、植田社長の「英語圏の人にも、三浦文学の素晴らしさを知ってほしい」という願いのもと、関係者が奔走して文学館の予想より大幅に早い三カ月足らずで完成した。

 同社は旭岳・黒岳両ロープウェイや、旭岳温泉の白雲荘などの運営で知られる。「カムイミンタラ」は八四年一月から〇四年一月まで隔月で発行。北海道の風土、文化を紹介するA4判の冊子だった。その後はインターネット上のウェブマガジンに形態を変えている。

 植田社長は熱烈な三浦文学ファンで、冊子時代のカムイミンタラは、特集で三浦さんを何度も取り上げていた。そんな三浦綾子特集号のひとつ、八六年五月号が昨年五月、「カムイミンタラアーカイブス 特集・時代とわたし 三浦綾子」のタイトルで復刻発行。その後、昨年末に植田社長から中小企業家同友会の仲間で、文学館の評議員も務める馬場芳弘・太田硝子店会長に「英語圏の人たちに三浦文学についてより深く知ってもらうため、この号の英語版を作りたい」という相談が寄せられ、札幌在住で三浦作品の「海嶺」の英訳に携わった経験もあるデボラ・デビットソンさんに依頼、今月一日付で英語版が完成した。

 英語版は十二ページ。レイアウトが日本語版と若干異なる以外は、日本語版を忠実に訳し、写真もそのまま使っている。同館では「植田さんの意向を組んで大切に使わせていただきます」と好意に感謝している。

「細川ガラシャ夫人」後期展示開催中

 三浦綾子記念文学館の特別企画展「初めての歴史小説『細川ガラシャ夫人』は、十二日から後期展示が開かれている。今回はガラシャの生涯の後半、受洗から死に至るまでの生きざまを紹介。特別企画展で途中で内容を入れ替えるのは初の試みで、「前期展示を見た方もぜひご覧ください」と来館を呼びかけている。

 十月十二日まで。午前九時―午後五時(入館四時半)。入館料大人五百円、高校・大学生三百円、小中学生百円。九月まで無休。