「合唱劇『カネト』を一緒に歌いましょう」――川村カ子(ネ)トアイヌ記念館(川村兼一館長、北門町十一)の創設者、川村カ子トさん(一八九三―一九七七)の半生をテーマにした合唱劇の公演が来年七月二十日、市民文化会館で行われます。アイヌ民族の長老として知られるカ子ト翁が、測量技手として大きな功績を残した、愛知や静岡、長野の市民で作る合唱団による公演。地元・旭川の人たちにも参加してほしいと今月十一日午後二時から、「合唱劇『カネト』を知る会」をときわ市民ホール(五ノ四)で開きます。
有能な測量技手として道内の鉄道敷設に力を尽くしたカ子ト翁の名声は本州にも及び、三信鉄道(愛知県豊橋―長野県辰野、現・飯田線)の間にあって「魔の峡谷」として恐れられた天竜峡の測量を依頼されました。一九二五年(大正十四年)、旭川から一隊を率いて本州に渡り、艱難辛苦の末、見事に測量をやり遂げ、後には現場監督として三信鉄道の全線開通を実現し、現地の人たちは今でも、尊敬の念を忘れていないといいます。
この歴史を語り継ごうと、愛知県日進市で合唱の活動を続けている元高校の先生、藤村記一郎さんが、十数年前から幾度も旭川に足を運び、川村館長や当時カ子ト翁に連れられて測量隊に参加した古老らから話を聞きながら構想を温め、一九九八年、合唱劇「カネト」の台本を書き上げました。飯田線沿線の人たちに呼びかけて「カネトを歌う合唱団」を結成、愛知や長野の各地で公演しています。
カ子ト翁の没後三十年(〇七年)、生誕百十五年(〇八年)を記念して、その故郷である旭川での公演を企画しました。愛知や長野、静岡から来旭する合唱団は約百人、地元からも参加してもらい、一緒に「カネト」を歌おうと、大人と子どもの合唱団員百人を募集します。今回の「知る会」には、作曲した藤村さんと演出の田中美代子さんが愛知から駆けつけ、これまで行われた公演やカ子ト翁を紹介するビデオを観たり、合唱劇の中の曲を歌ってみます。
また、十三日午後六時半から、旭川公演実行委員会(三浦光世・呼びかけ人代表)が、ときわ市民ホールで開かれます。「知る会」「実行委員会」とも、問い合わせは川村カ子トアイヌ記念館内の事務局(電話51―2461)まで。