画像 一九五四年(昭和二十九年)に開業した旭川初の商業ビル・アサヒビルが建て替えられることに伴い、同ビル一階で営業しているアサヒビル商店会(菅井弘明会長)が十二月四日から閉店セールを始める。

 六階建ての同ビルは完成当時、二階建て以下の建物がほとんどだった市街地のどこからでも見え、大きな話題になった。エレベーターも市内初登場で、乗ってみたいと訪れる市民が長蛇の列を作ったという。その年の九月には、洞爺丸台風の強風で、当時一階にあったショーウインドーの大きなガラスが割れ、台風の猛威を改めて知らされたという逸話も残っている。ホテル、結婚式場、放送局などが入っていた時期もあり、最盛期は地下から二階まで商店が並んでいた。

 半世紀に渡って市民と歩んできたが、ホテルを中心としたビルに建て替えられることが決定。現在のテナントの中には、この機会に移転や廃業する店もあり、商店会では長年の市民の利用に感謝しようと、合同で閉店セールを開くことにした。

 約四十年にわたり店を構える松本憲彦さん(70)は「年配の市民の方は、皆このビルに思い出があると思います。ビルが姿を消す前に足を運んでいただければと思います」と話している。

 閉店セールはテナントによって閉店日が異なるため、終了日は定めないが、全店が閉店する来年の春までの予定。