冷や汗の半目勝ちで佐藤さん本因防返り咲き

黒番:小林理泰(本因防)

白番:佐藤和敏(挑戦者)

画像 小林さんは二期前に私から本因防位を奪った相手である。前期は防衛を果たし、本戦は三期目を目指す棋戦である。一方、私にとって本戦は返り咲きを目指す三度目の本因防位を賭けた試合であった。しかし、何故かあまり緊張感はなく、楽しく気分よく打ちたいと言う気持ちの方が強かった。それにしても、ずいぶん先行きのわからない難しい碁を打ったものである。冷や汗ものである。

 小林さんとの碁は毎度のことだが、今回も終始戦いの碁となった。終盤優勢を意識して打っていたが、黒131手が強烈であった。その後、黒137とつながれ、思わず138と打ってしまった。黒は139と下を抉り、これに対する応手を白は誤り、一気に形勢が細かくなった。黒143の付けに対しては白144と下に受けたが、黒243の上に受けるべきであった。よしんば、下に白144と受けたとしても、黒147に対して白146ではなく、148と引いておけば問題はなかった。

画像 さて白は156とかねて狙いの劫に挑んだ。劫は延々と続いた。黒の劫材175の手に対しては余程打ち抜こうかと迷ったがやめた。

 黒181手からの劫材の隅の手は、最低劫になる所を生かしてもらい、白は助かった。しかし最後になって黒から上手い寄せを何度も打たれ、形勢不明となった。並べてみて白半目の勝ちになり胸をなで下ろした。