img長唄と小唄のお師匠さんとして知られる柏伊三加代さん(長唄の名取り名、小唄の名取り名は春日とよ千栄香)の傘寿を祝う集いが五月二十五日夜、花月会館で開かれた。

柏さんは、昭和三年(一九二八年)六月九日、旭川市生まれ。小さな頃から体が弱く病院通いが絶えなかったことから、母親が芸事を習うことで少しでも丈夫になればと、六歳の時に、柏伊三二師匠(故人)の元で三味線と踊りを習い始めた。「普通の三味線では竿が長くて使えないので、父が竿の短い三味線を特注で作って与えてくれました」と柏さん。

戦後の昭和二十七年から三年間、汽車と連絡船を乗り継いで上京し、旅館に泊まって東京の二代目・柏伊三郎家元の元に稽古に通い、晴れて門弟に。その頃から弟子を持つようになり、昭和六十三年には、十五、六人の教え子たちを連れて、東京の国立劇場の舞台も踏んだ。現在は、長唄の柏会、小唄の柏春会を主宰。市内邦楽界のリーダーの一人として活躍している。

祝う集いには、邦楽や踊りの関係者ら八十人が出席。札幌から駆けつけた日本舞踊・萩井流分家の萩井延瑞家元らがご祝儀の踊りを舞うなど、若々しい師匠の八十歳を祝福した。