作家や歌人として、また郷土誌編集者として旭川を拠点に活動した宮之内一平(一九一三―二〇〇三)の足跡をたどる「宮之内一平の仕事」展が井上靖記念館(春光五ノ七、彫刻美術館隣)で始まった。旭川文学資料友の会と井上靖記念館の共催。

宮之内は大正二年(一九一三年)、空知管内浦臼町生まれ。東川小学校高等科を卒業後、農業などに従事。歌誌「青空」の同人となる。二十三歳で上京し、出版社や印刷所、看板店などに勤めながら創作活動を続け、昭和十三年、「選鉱婦」が「文芸首都」新人創作の佳作に入選。その後も、「早稲田文学」「主情派」「鼓動」などの文芸誌に作品を発表した。終戦後は旭川に戻り、昭和三十五年(一九六〇年)から郷土誌「豊談」を編集発行。その間、小説「談合」がサンデー毎日大衆文芸賞佳作、「造材飯場」が同誌百万円懸賞佳作となる。著書に創作集「造材飯場」「赤い羽根婦人」、随筆集「被写体」、「啄木・釧路の七十六日」など。

「作家・歌人・編集者として」のサブタイトルを冠した同展では、原稿や書簡、はがき、編集発行した郷土誌「豊談」、著作などの関連書籍、写真など約五百点を展示して、宮之内の生涯と残した仕事の足跡をたどる内容だ。十月十三日まで。

開催期間中の今月二十一日午後一時半から、宮之内の長女で文芸誌「木綿」同人、煙山一恵さんが「父の本棚」、次女でこども冨貴堂店長の福田洋子さんが「私の好きな父の短歌」と題して、父・宮之内一平を語る集いが開かれる。

集いでは、旭川文学資料友の会会員による宮之内作品の朗読会、宮之内が愛した石川啄木作詩の歌などを佐藤道子さんが歌うミニコンサートも開かれる。

問い合わせは、旭川文学資料友の会(TEL22―3310・内線228)、または井上靖記念館(TEL51―1188)へ。