今、競馬界をにぎわせているのが、今年三月デビューの三浦皇成騎手。驚異的なスピードで勝ち続け、破られないと思われていた、天才・武豊騎手の持っているデビュー年・最多勝記録の六十九勝を超え、十月二十五日、福島競馬の第一レースで七十勝に到達。記録は塗り替えられた。

 デビュー時から順調に勝ち星を重ね、マスコミやファンから注目を集める三浦騎手を目の当たりにして、一時期とても複雑な気持ちになったものだが、私はただ純粋に丸ちゃんを応援し続ければいいのだとすぐに思い直した。丸ちゃんも「(三浦騎手を)意識しても仕方ないですし、自分は自分と思わせてくれる存在でもありますね」と至って冷静だ。「自分は自分」と達観して、目の前の一鞍、一鞍を大切に騎乗した結果が、成績アップにつながったのではないかと私は分析している。

 そんな丸ちゃんに、この夏刺激を与えてくれたのが、競馬学校同期で関西所属の荻野琢真騎手だ。荻野騎手も丸ちゃん同様、函館、札幌と約四カ月、北海道遠征をしていた。「北海道滞在中、あいつはすごく頑張ってましたから。休日も休まずに、独自のルートで開拓した(育成)牧場に乗りに行って、営業を一生懸命やってましたしね。それを見て僕も休んではいられないと奮起する材料となりました」と言う丸ちゃん自身も、元々、牧場にはよく足を運んではいた。だが荻野騎手の存在が、より一層影響を与え、それまで以上に、牧場や関係者が多く集まるセリなどに顔を出して営業活動にいそしむこととなったようだ。荻野君と丸ちゃん、お互いを高め合ういい関係だ。

 いい関係と言えば、札幌出身の千葉直人騎手と丸ちゃんは同い年ということもあって仲が良い。美浦トレセンの調教スタンドで楽しそうにおしゃべりしている二人の姿をよく見かける。丸ちゃん曰く「ライバルという感じはしないですねえ。モニターを見ながら、千葉を応援してますからね」。北海道人同士、何か引き合うものがあるのかもしれないなぁ。

 「自分は自分」と思わせてくれる三浦騎手、刺激を与えてくれる荻野騎手、仲の良い千葉騎手。全くタイプの違うそれぞれの騎手たちが、丸ちゃんの成長を促してくれる大切な存在のように私には感じる。

仲良しの丸ちゃん(左)と千葉ちゃん(千葉直人騎手)