img第十九回旭川建築作品発表会が十八日、旭川市科学館サイパルでおこなわれた。主催は一九九〇年に旭川市が第一回の同発表会を開催したことが契機となり設立された、北国の快適で個性豊かな都市環境の創造に関心を持つ旭川在住の建築専門家らでつくる旭川まちなみデザイン推進委員会(ALM委員会)。

発表会は二部構成になっており、第一部では旭川工業高校建築科の生徒と東海大学建築・環境デザイン学科の学生が卒業設計を発表。第二部は新旭川駅舎の鉄骨躯体構造を設計した川口衛さん(東京・川口衛構造設計事務所主宰)が『新しい旭川駅舎の構造設計』と題して特別講演をおこなった。

旭川工業高校からは三人の生徒が発表。秋山林士さんは『旭山動物園ワニ・カバ館』を設計。ワニと共存可能なカバを一緒の水槽で飼育することで「迫力があり、今まで見たことがない施設にしようと思った」と説明した。伴咲旺里さんは「郊外の大型店に客足を奪われ、空き店舗が目立つ買物公園に昔の賑わいを取り戻そう」と、地下に公園をつくり、大木を中心とした街づくりを提案。山口敏弥さんは「北彩都の開発で旭川の街はあわただしい街になることが予想されるので、五感ミュージアムの建設を考えました」と、宇宙・香り・無限・光の影・鏡の特徴ある五部屋をデザインした。

また、東海大学の米田勝信さんは「心のオアシス」となる「ENKEL MUSEUM」を設計。「ENKEL」はスウェーデン語で「ふつうでちょうどいい」という意味。ストレスの多い現代社会で「心の栄養素」である芸術や自然との触れあい、親しみのある住まいのようなたたずまいを北彩都の中に建築するという内容。

新旭川駅舎の構造設計をおこなった川口衛さんは東京オリンピックの代々木水泳会場や万国博お祭り広場大屋根、バルセロナオリンピック・スポーツホール、シンガポール国立競技場などの設計をしている著名な構造設計士。旭川新駅舎の設計ができるまでの過程や駅の特殊性などを解説。またケース・スタディーとして高知駅舎や日向駅舎の構造についても触れた。

会場は立ち見も出るほどの盛況で、市内の建築家や学生ら九十九人が熱心に耳を傾けていた。中にはメモや録音を取っている姿も見られた。