img「一ノ戸ヨシノリ展」が道立旭川美術館で開催されている。

旭川在住の美術家、一ノ戸ヨシノリは一九三四年(昭和九年)上砂川町生まれ。道教育大旭川分校(現・道教育大旭川校)に学び、早くから抽象画に取り組んだ。

一九六〇年代の半ばから、作品『国旗』(一九七〇年)に代表されるように、鏡や様々な既製品を使ってトリック的な効果を追求する「インスタレーション」に取り組み、注目を集めた。『国旗』は、日米両国の国旗を鏡の効果によってモンタージュした作品で、米国旗に取り込まれた日の丸が、属国として存在する日本の状況を表現している。

八〇年代には、鏡ではなく、水やネオン管を使ったインスタレーションを手掛けた。池の水中水面にネオン管を配した屋外作品も制作した。

九二年(平成四年)からは「あさひかわ雪あかり」の制作に参加。冬まつりの会場で、枯れ木や枝の骨組みに白い布を巻き、内部に電球を埋め込んだアートは、旭川市民にはすっかりおなじみとなっている。一ノ戸は、構想やデザインに携わることはもとより、現場で大勢のスタッフを指揮し、自らも先頭に立って制作にあたってきた。

今展は、一ノ戸の造形世界を初期から近年までの代表作によって紹介する、初の回顧展となっている。旭川を拠点に取り組んだ、五十年以上にわたる一ノ戸の前衛的活動を知ることが出来る。四月十二日まで。

imgまた、第二展示室では「まる―円と球から広がる世界」を開催中。洞爺湖サミットで使用された、北の住まい設計社(東川)制作の円卓のほか、円形や球形にちなんだ遊び心に富む作品の数々が展示されている。五月二十四日まで。

観覧料は一般九百円(第二展示室とセットの観覧は九百七十円)、高大生六百円(同六百五十円)、小中生三百円。午前九時半~午後五時(入場は四時半まで)。月曜休館。問い合わせは道立旭川美術館(TEL25―2577)へ。