img進藤病院の内科に勤務する医学博士・長根忠人さん(49)が初の小説「イプシスの刃」を発表、四月一日から全国の書店で販売がスタートする。

長根さんは一九五九年(昭和三十四年)、札幌市生まれ。旭川医大出身の循環器専門医だ。

小説を書くきっかけは、自宅の新築を依頼したハウスメーカー「家計画」の先代社長、小川有美さん(故人)との出会いだった。生前の小川さんが「皆で幸せになり、旭川を元気にし、全国に元気を発信させたい」と立ち上げた「サクラサクネット」というグループに参加し、運営委員として活動する中で、日々何か物足りなさを感じていた長根さんは、十年ほど前に漠然と考えていた小説の執筆を思い立ったという。

「イプシスの刃」の舞台は旭川。主人公の影山亮馬は最先端の再生医療を研究する医師。万能細胞の研究に代表される近未来の医療とアイヌ民族の伝説を織り交ぜながら、日々医療現場に立つ長根さんならではの着想をベースにした医療SFアクション小説だ。

「小川さんと出会い、サクラサクネットの活動をするまでは、このまま勤務医を続けるんだろうなと思っていた。でも、小川さんに刺激を受けて、自分も、旭川も元気にしようという思いを具体化する一つの方法が、小説の執筆でした」と語る長根さん。〇七年十二月から書き始め、勤務中の昼休みや仕事を終えて帰宅してから執筆を続け、翌年六月に完成した。

書き上げた原稿を仲間達に読んでもらうと好評で、奥さんが東京の出版社に送付、高い評価を受けて出版が決まった。「このテーマは三部作の構想で書き始めたんです。すでに第二部は書き上がっていて、今回出版する本が売れてくれれば、二冊目を出せるかなと考えているんですが…」と長根さん。今年七月には独立し、宮前通の北彩都地区に開業する予定だ。

「イプシスの刃―万能細胞の影・超人影山亮馬」はB6判二百八十二㌻、文芸社刊、千二百六十円。