小熊秀雄賞市民実行委員会(松田忠男会長)が十八日、市内の全小中学校の図書館に並べてほしいと、市教育委員会に同会が編集・刊行した「飛ぶ橇文庫」八十一セットを寄贈した。

 小樽に生まれ、旭川で青年時代を過ごした小熊は、詩や絵画、童話など多彩な作品を残し三十九歳の若さで亡くなっている。日本が戦争への道をたどり始めた時代、体制に抗する作家として生きた小熊の業績を語り継ごうと、同会は現代詩の詩集を対象に毎年、小熊秀雄賞を運営している。

 「飛ぶ橇文庫」は、北海道文化財団の支援を受けて刊行した。代表作の長編詩、「飛ぶ橇」や「焼かれた魚」などの童話十二編、韓国語の対訳を付けた詩「長長秋夜(じゃんじゃんちゅうや)」のほか、同会の石川郁夫さんが書き下ろした「小熊秀雄ものがたり」など十冊が箱に収められている。

 挿絵は、旭川で活動する画家の高橋三加子さんと、絵本作家の堀川真さんが手掛け、造形作家の藤井忠行さんが編集。市内の第一印刷で印刷・発行した。

 小池語朗教育長に文庫を手渡した同会の東郷明子副会長は、「若い世代、特に小中学生に小熊秀雄の作品に触れてもらいたいとの思いで編集しました」と話していた。