広島・長崎に原爆が投下された夏から六十六年が経ち、この重大な歴史の事実さえ風化しつつあります。

 二度と悲劇を繰り返してはならない――。原爆被爆者のその思いを後世に伝えるとともに、亡くなった被爆者に思いをよせる「旭川原爆被爆者をしのぶ 市民の集い」が三十日(土)午後二時半から、旭川市民文化会館小ホールで開かれます。同実行委員会(伊藤豪彦さんほか共同代表)の主催。

 しのぶ集いは、今年で二十五回目の節目を迎えます。被爆者や遺族の高齢化に配慮し、日中に開催します。ここ数年と同様に、追悼詩の朗読とスライド、道北の原爆死没者の紹介、合唱、朗読劇、黙想を行いながら、被爆者をしのび、恒久平和と核兵器の廃絶を誓います。

 朗読劇では、広島で被爆した故・江本繁雄さんの生涯を伝えます。江本さんは軍の事務係でした。徴用工員の安否確認のため、ある女学生の母親を訪ね ると、「娘は髪を切りに行ったまま帰ってこない」と言います。美容院に行った江本さんは、崩れた石の壁の下から、その娘と思われる、胴体だけになった遺体 を見つけます。悲惨な亡きがらを母親の元に連れて行かねばならない、そうした悲劇を自身の体験記と夫人からの聞き取りで構成した朗読劇です。

 入場無料。誰でも参加できます。準備を手伝ってくれる人も歓迎します。問い合わせは共同代表の打本厚史さん(TEL87―2080)へ。

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 当日、会場ロビーでは「原爆の絵展」も行われます。原爆の絵を見る会(吉田勝弘・永江力代表)の主催。

 広島平和記念館に保存されている三千枚の絵画を、毎年六十枚ずつ借り受けて展示し、今年で十二回目を迎えます。被爆した人々が「あの体験を、どうしても後世に伝えたい」という思いで描いた絵です。

 八月四日からは、会場をアッシュアトリウム(一条買物公園)に移して、九日まで展示します。問い合わせは工藤修さん(TEL52―7016)へ。