「氷点」の登場人物になったつもりで追体験――。三浦綾子記念文学館(神楽七ノ八見本林)の特別展「ようこそ、美しくて不気味な『氷点』の奥舞台・見本林へ」が同館二階で開催中だ=写真。

 この企画は「追体験展示」と銘打って行われている。「氷点」の登場人物の言動について、実際に見本林で自分のことのようにイメージし、ドラマをよりリアルに感じようというねらいだ。

 まず展示パネルで「氷点」の原文に触れる。同館特別研究員・森下辰衛さんの監修による解説文が添えられており、作品を深く理解できるようになっている。館内での観覧を終えてから見本林のマップを片手に小説の舞台を歩き、物語を追体験するという趣向だ。

 「氷点」の一部分「高いストローブ松の梢が風に揺れていた。(中略)ぐるりぐるりと小さく天をかきまわしているような感じだった」を読んだ後で実 際にストローブ松林に行き、梢を見上げる。解説文が示すとおり、「人間が天に手を向けて伸ばし、助けを求めるさまを表現した」ことがよく理解できるととも に、あたかも自分が作品の中に入り込んだような感覚を覚える。

 また、辻口邸は見本林のどの位置に接して建っていたのかなど、ユニークな視点からの考察も交えた展示となっている。

 十月二十七日まで。午前九時~午後五時。九月三十日まで無休。入館料は大人五百円。問い合わせは(TEL69―2626)へ。