遺骨を海や山に撒く「自然葬」について考える講演会が一日、大成市民センターで開かれた。葬送の自由をすすめる会北海道支部(塩崎義郎支部長)の主催。

 民俗学者の酒井卯作さん=写真=が講師を務めた。柳田国男の直弟子の一人として知られ、同会の理事も務めている。当日は「死と墓と日本人」をテーマに話した。

 酒井さんは現代のような石材の墓の原点について、平安時代後期に源氏物語の後に書かれた「栄華物語」の中に、板の塔婆に代えて石塔を立てた記述があるとした。

 酒井さんは日本各地の死にまつわる民俗文化を紹介しながら、「墓は本来ケガレの場であり、定期的にお参りをするような対象ではなかった」と説明した。さらに現代の墓への変遷について「江戸時代にキリシタンを弾圧した際、幕府の後押しで寺院が政治的な力を持つようになり、墓参りや年忌法要を推奨するようになった。また墓は個人をまつるものだったが、戦後になってから先祖代々の墓が増え、墓石も大きく、きれいになっていった」などと話した。

 酒井さんは「墓についてのトラブルが増えている。元気な内に後のことを決め、身近な人に伝えておくべき」とアドバイスしていた。