市内在住の漫画家、日野あかねさんが新作「犬往生―老犬と過ごした二十一年間」=写真=を双葉社から刊行した。日野さんは二〇一二年(平成二十四年)に夫のがん治療を描いた「のほほん亭主、がんになる。」を出版していて、二年ぶりの新作刊行だ。

 日野家の愛犬チャックの介護を、ほんわりとしたタッチの漫画で表現した。雑種でオスのチャックは、魚をメインにした手作りのエサを常食させていたせいか、二十一歳まで長生きした。

 二十歳のとき、階段から落ちたのが介護の始まり。それまでは出来ていた「トイレのために二階から一階に降りる」という行動が出来なくなっていた。トイレのために一日に何回も犬を抱いて階段を下りて外に連れ出す大変さ、また家族はこのために長時間の外出が出来なくなる様子も描いている。

 チャックは最晩年、痴呆になってひどく夜鳴きした。犬用の紙オムツを着けるようになり、寝たきりの状態を経て亡くなった。死後、「あの時すぐに病院に連れて行けばよかった」と後悔したり、「あの仔は果たして幸せだったのだろうか」と自問自答して悩むペットロスについて、日野さん自身の心情を吐露している。

 日野さんは「老犬介護がテーマです。ただかわいいだけじゃ済まない、ペットの高齢化の実情を描きました」と話している。

 A5判、百二十六ページ。千円(税別)。市内の主な書店で販売している。