市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が運営する第四十七回小熊秀雄賞の最終選考会が六日午後、市内高砂台の旅館・扇松園で開かれた。最終選考にノミネートされた八篇の詩集について、四人の選考委員が三時間二十分に及ぶ激論の末に「今回は該当作なしにする」と決めた。
二〇一三年(平成二十五年)に発行された現代詩の詩集が対象。全国から百十八点の応募があった。市民実行委員会による第一次選考を経て、道内在住の選考委員による第二次選考で八点に絞られ、この日の選考会に進んだ。
選考委員は、工藤正廣(北大名誉教授・札幌)、石本裕之(旭川工専教授・旭川)、堀川真(絵本作家・旭川)、アーサー・ビナード(詩人、エッセイスト・東京)の四氏。実行委員会の石川郁夫さんが進行役を務めた。
八作品の一点ずつについて各委員が意見を述べ、議論する形で選考が進められた。工藤委員と石本委員が、それぞれ別の作品を賞に推す意見を述べ、一時はダブル受賞の話も出た。しかし、ビナード委員が「小熊賞を贈って、多くの人に『この詩集を買って読んでください』と自信を持って勧められる基準に達していないと思う」と発言し、「該当作なし」を主張。堀川委員も、「昨年は甲乙付け難いという理由で二作品に賞を贈ったが、今回は、こちらに贈るならこちらも、という感じで、意味が違う」とビナードさんに同調した。
「現代詩とは何か」、「小熊賞の存在意義はどこにあるのか」という文学賞の根源的なテーマにまで議論は白熱、最後は各委員が納得する形で「該当作なし」で決着した。
同賞の運営を市民実行委員会が引き継いだ第四十一回(二〇〇八年)以降、受賞作がなかったのは第四十五回(二〇一二年)に続き二回目。昨年の第四十六回は、二作品が受賞している。