旭川ゆかりの作家、安部公房をテーマにした「弟から見た兄・安部公房の風景」展が中央図書館(常磐公園内)で行われている。

 安部公房の実弟、故・井村春光さんから東鷹栖安部公房の会(森田庄一会長)に寄贈された書籍や資料のほか、井村家が所蔵する品々を展示している。

 展示の中で目を引くのが、安部公房が東大医学部在籍中にガリ版刷りで自費出版した「無名詩集」=写真。古本市場では五十万円ほどの値段が付く。「春ちゃんへ 兄」との献辞が付いていて、兄弟愛を感じさせてほほえましい。また川端康成から安部公房に送られた手紙(写し)も興味深い。

 ほかにも安部公房が幼い頃の家族写真など、兄弟ならではの所蔵品が並んでいる。森田会長は「兄弟の絆が感じられる展示です。中央図書館での開催後は、東鷹栖の支所に展示して、多くの方に見ていただきたいと思っています」と話している。

 九月十五日まで(八月二十五日、九月一日、八日は休館)。問い合わせは中央図書館(℡22―4174)へ。

初心者のための安部公房講座

 「初心者のための安部公房講座」が二十四日(日)午後一時半から、東鷹栖公民館(東鷹栖四ノ三)で行われます。 北海道立文学館と東鷹栖公民館の共催。

 安部公房の作品の魅力やその生涯を、堅苦しくない内容で、誰にでもわかりやすく紹介します。講師は、元北海道新聞記者で、北海道立文学館副館長の谷口孝男さんです。

 無料で誰でも参加できます。申し込み不要。問い合わせは森田さん(℡090―6696―6677)へ。

記念碑10月に建立 協賛金を募集中

 安部公房の記念碑が十月上旬、近文第一小学校(東鷹栖三線十号)の校庭に建立されます。東鷹栖安部公房の会では、協賛金を募集しています。

 安部公房は小学校二年生から三年生(昭和六~七年)にかけて、同校に通いました。碑石(高さ約九十㌢、幅八十㌢)は公房の親戚にあたる飯澤尋子さんが所有する石で、幼い頃の公房がこの石の周りで遊んだこともあったと推測されます。碑面には同校卒業生で公房と交友のあった保坂一夫・東京大学名誉教授が揮毫します。

 協賛金は個人一口千円から、団体は一口五千円から。特典として、記念碑完成時のパンフレットに名前が掲載されます(希望者のみ)。問い合わせは森田さんへ。