北海道産業用大麻協会(菊地治己代表理事)の一行が六日から十二日まで、産業用大麻(ヘンプ)の先進国・フランスへの視察旅行を行った。ヘンプは、北海道の次世代の基幹作物として期待される。


一行は同協会会員の農家や会社経営者、建築設計士、弁護士ら十人。道内四人、道外から六人の参加があった。 
フランスはEU(欧州連合)の農業大国で、ヘンプも一万㌶とヨーロッパで最大の作付規模を誇る。一行は、ヘンプの生産農家や一次加工と断熱材を製造する会社、種子の生産農家、ヘンプを原料とした自動車部品メーカーなど、八カ所を見て回った。
団長を務めた菊地さんは視察の印象について、「最も有益だったのは、ヘンプの繊維とオガラ(木質部)に分ける一次加工と断熱材を製造している、カバック・ビオマテリオ社だった」と話す。
同社は二〇〇八年設立。西フランス最大の農業協同組合カヴァックが十三億円を投資して設立した。一軒の住宅の新築にヘンプを原料とした断熱材は、栽培面積一~二㌶分が必要で、現在、契約農家と千七百㌶の面積を確保し、年間売上十三億円、従業員三十人だとの説明を受けた。
菊地さんは「TPP締結後の農業や、増え続ける離農者の土地をどうするかなどの問題解決に、ヘンプは大きな可能性を持っている。また、道内で大きな作付面積を持つテンサイや小麦、豆などの輪作作物としても注目すべきだ。輪作作物として最低でも二万㌶は必要になる。その時、一次加工するところがなければ、誰も作付けする者はいないだろう。ヘンプの作付けを増やすため、一次加工会社の設立が喫緊の課題だと考えている。近い将来、ぜひ実現したい」と力説する。
マリファナ成分のTHCを全く含まない、雌雄同株で早生品種の種子を生産している会社も視察。菊地さんは「北海道での栽培に適した種子」と関心を寄せている。