日本を代表する家具メーカー、カンディハウスの創業者、長原實さんを偲ぶ会が十四日、旭川グランドホテルで行われた。長原さんは十月八日、肺がんのため八十歳で亡くなった。

 祭壇には、長原さんがデザインした七脚のイス、生まれ故郷・東川から望む大雪山の山並みのイメージが白い菊で描かれ、カンディハウスの企業カラー・赤のバラが飾られた。

 九百人の参列者で埋まった会場には、長原さんが好きだったベートーベンの交響曲が静かに流れ、生前親交があった八人が「それぞれの長原實」を語り、送る言葉を述べた。

 参列者に手渡された「しおり」には、長原さんの手による「創造無限」の文字がデザインされていた。しおりを開くと、亡くなる二日前、関係者を枕元に読んで手渡したメモが紹介されている。

「旭川市立 北海道ものづくり大学」

「織田コレクション」

「IFDA 国際家具デザインフェア旭川」

「ひとづくり一本木基金」

 これら長原さんが精魂傾けて取り組んだ事業や運動を「有機的に運用」して、「20~30年後」には、旭川を「ものづくり王国」に育て上げてほしいと託したという。

 仕事も、遊びも、全力で、手を抜かない、あきらめない、そんなダンディーで、一貫して反権威を貫いた、希有な男を偲ぶにふさわしい集いだった。