「小熊・大力記念朗読会~今、小熊秀雄、今野大力を読む」が、十一月二十一日夜、そば店「じゃずそば放哉」(六ノ七)で開かれた。

 暗い戦争の時代を鮮烈に駆け抜けた旭川ゆかりの詩人、小熊秀雄(一九〇一~三五年)と今野大力(一九〇四~三五年)。今年がそれぞれ没後七十五周年、八十周年の節目の年に当たることから、大力祭実行委員会の協賛も得て、小熊秀雄賞市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が二人の作品の朗読会を特別企画した。

 小熊は小樽市出身で、旭川新聞の記者を経て詩人、評論家、画家として活躍。今野は宮城県出身で、三歳で旭川に移り、文学や政治活動にのめり込んだ。ともに上京し、戦前の言論弾圧に立ち向かった。

 この日の旭川市内は、雪が降って寒い夜となったが、特別企画とあって朗読会の会場はこれまで最高の約七十人の市民で埋まり、珈琲とケーキを楽しみながら朗読を待った。

 朗読者は佐藤比左良さんら十人。初めての高校生、旭川明成高校演劇部の佐々木月さんと土井竜聖くんも加わった。

 朗読者らは、今野の「東郷大将と彼」「夏は来よ」、小熊の「ある手品師の話」「トンボは北へ私は南へ」などの詩や童話を独自の解釈で朗読。特に戦前の暗い軍部独裁体制を告発する詩には、再び〈戦争のできる国〉へと変貌する今の日本の状況を憂慮するかのような雰囲気が会場に漂った。