ふだん記旭川グループ(岡田勝美代表)がこのほど、『旭川のふだんぎ』六十三号を刊行した=写真。
ふだん記は東京都八王子市の故・橋本義男さんが一九六八年(昭和四十三年)に「庶民自らが庶民の歴史(自分史)を記録する」ことを提唱して始まった運動。「ふだん記」は「ふだん着」の気楽さで、上手下手を競わず、自分の言葉で日頃の思いや生活体験を記録しようと名付けられた。
旭川グループは八〇年(同五十五年)に文友十一人、四十四ページの創刊号でスタートした。三十六年目の現在、グループ員は約百八十人(市内の他、道内外を含む)。六十三号には旭川グループ百一人、他グループから十九人、計百二十人が寄稿している。うち新人は三人。
六十三号は、昨年六月に旭川市内で開かれた「第三十二回北海道ふだん記交流会・旭川大会」の写真をふんだんに使い、道内外から集まった文友九十人余の楽しげな交流風景が紹介されている。
特集は「〈戦後七十年〉思い出すこと、思うこと」。新しく文友になった市内在住の吉成ヨシ子さん(95)は「父母が北海道に移住して」と題して書いている。
吉成さんの両親は六歳の長兄を連れて愛知県から比布村(現比布町)に移住した。「ひと冬は、よしわらで作ったおがみ小屋で過ごしたとのこと。…父は私が五歳の頃、四十四歳で亡くなり、思い出はありません。北海道に来て、一度も故郷四国の地を踏むことなく亡くなり、残念だったろうと思います。…私が子供の頃は、道端や田んぼの中に大きな切り株がありました。黄色い茸が生えていてよく喰べたのを思い出します。お菓子といえば、お正月とお祭りくらいしかあたらなかったです」と述懐している。
編集部は「いま書いておかねばの気持ちで、体験記や思うことを記録する文章を募集しています」と呼び掛けている。
四百字詰め原稿用紙五枚がメド。会費や会則はないが、一枚につき千円の発行協力の協賛金が必要。次号六十四号の締め切りは三月末。
『旭川のふだんぎ』は旭川冨貴堂豊岡店とジュンク堂で一冊千五百円(税込)で販売している。
問い合わせは、岡田代表(TEL31―1248、〒078―8235 旭川市豊岡五―三―九―十九)へ。