髙砂酒造(宮下十七)の蔵人たちが一日、美瑛町美馬牛の山中で、雪の中から、原酒を入れたタンクを掘り出す作業を行った。

 「雪中貯蔵」は搾りたての原酒をタンクごと雪の中に埋めて、約百日間低温熟成させる、北国ならではの貯蔵法だ。タンクが雪に覆われるため、タンク内の温度がマイナス一℃前後に保たれる。この貯蔵法で熟成された酒は、通常の熟成方法よりもまろやかな仕上がりになるという。同社では九七年(平成九年)から、毎冬行っている。

 雪に埋められた七㌔㍑のタンクは昨年よりも一本多い三本。中には、本醸造「大雪」、純米酒「雪のゆりかご」の二種の酒が詰められている。九人の蔵人が約四時間かけて掘り出した。

 タンクが掘り起こされると杜氏の森本良久さん(47)が、さっそく利き酒をして、「香りがあり、旨味ののった酒になりました」と太鼓判を押した。

 二種の酒は瓶詰めされて、「大雪」は九千五百本限定で二十二日(金)から全国の酒店で、「雪のゆりかご」は四月上旬から、北海道限定で店頭に並ぶ予定だ。