日本で麻薬に指定されているTHC(テトラヒドロカンナビノール)をほとんど含まないヘンプ(産業用大麻)の普及と関連産業の創出を目指そうと一月二十七日、「旭川ヘンプ協会」の設立総会と記念講演会が旭川トーヨーホテル(七ノ七)で行われた。

 市内外から約四十人が参加。記念講演では、ヘンプフーズジャパン(東京)の松丸誠代表が「健康にやさしいヘンプフーズのお話」と題して話した。松丸さんは「ヘンプシード(麻の実)は他の食物と比べ脂質やたんぱく質、ミネラルを多く含んでいる。ヘンプシードから抽出したオイルには必須脂肪酸のメオガ3、6が豊富」と、バランスの取れた食物であることを強調。首都圏を中心に購入者が増えている現状を報告した。

 もう一人、建築家の槙田敦さん(東京)は「環境にやさしいヘンプハウスのお話」と題して講演。「ヘンプは軽く、断熱性、耐火性、耐害虫性が高いことから、昔は漆喰(しっくい)や茅葺(かやぶき)屋根、畳などに使用されていた」と説明。十数年前からヨーロッパでヘンプと石灰などを混ぜたヘンプクリートを外壁に使用したヘンプハウスが数多く建設されている例を紹介。「ヘンプを使った建材を輸入すると高いものになるが、日本で製造が可能になると、現状使用されている建材と変わらない価格になる」と国内生産が課題だと指摘した。

 へンプに詳しい日本大学の赤星栄志・客員教授は、昨年一年間で世界で大麻の規制緩和が大きく進んだと報告し、その国や地域の一覧を示した。中でも最も影響が大きいとしたのは、昨年十二月下旬にアメリカがヘンプを規制物質から除外したことを挙げた。「今後、ヘンプの規制緩和は世界的に進む。日本がこのまま規制を続ければ、世界の流れに取り残されることになる」と意見を述べた。

 参加した網走管内遠軽町で農業を営む八十歳代の男性は「農家のほとんどは毎年、麦を生産している。農薬などで何とか生産を維持しているが、このまま単品化が進めば、農業がダメになる。ヘンプは輪作作物として有効と考えている」と意見を述べた。

 設立総会では、会長に旭川市議の白鳥秀樹さん(68)を選出。白鳥会長は「ヘンプは北海道農業に大きな役割を果たす作物と考えている。(ヘンプは大麻と名が付いているため)あまり良いイメージを持たれていないが、THCをほとんど含んでいない。ヘンプ普及のため、頑張っていきたい」と抱負を述べた。

 旭川ヘンプ協会は、旭川市と近郊市町村の個人・団体で構成し、北海道ヘンプ協会(菊地治己代表理事)に加盟するとした。協会の趣旨に賛同する会員を募っている。事務局長・浅井繁さん(メール inakappei61@gmail.com)へ。