買物公園と七条緑道が交わる場所に位置する「まちなかぶんか小屋」では、さまざまなイベントや教室がほぼ毎日のように開かれている。

 毎週金曜日午前十一時からは「歌声喫茶」。参加者は老若男女さまざまで、ぶんか小屋の他のイベントに参加したことがある人もいれば、SNSを見たり、知り合いに誘われたりして初めて来る人もいる。毎回参加する人も多く、初めての人も常連も、歌を通じてすぐに打ち解ける。
 伴奏者は決まっていないが、楽器を演奏できる人が毎回誰か現れる。ギターやキーボードのほか、三線や外国の楽器など得意の楽器で伴奏し、「一度として同じ回はないんですよ」と、ぶんか小屋の竹田郁さん(36)は話す。

 進行役の「ひとぴょん」こと岡田ひとみさんは、ぶんか小屋や銀座センタービル(銀ビル、三ノ十五)で開催されている「呼吸体操アイチ」のインストラクターだ。ぶんか小屋をよく訪れる岡田さんは、「ぶんか小屋で歌を歌いたい」という要望があると知り、銀ビルの歌声喫茶に参加した経験を生かして歌声喫茶を企画した。昨年十二月にぶんか小屋で歌声喫茶がスタートして以降、銀ビルとぶんか小屋、両方の歌声喫茶を掛け持ちする人もいるという。

 四月二十六日は、ぶんか小屋で何度もライブを開いているセシリアぬえさんのキーボードと、参加二回目の神田慶一郎さん(33)のギター伴奏で、「青い山脈」からスタート。参加者が一曲ずつリクエストして、合計十一曲を歌った。お母さんとおじいさんと一緒に来ていた藤本珠宇(しゅう)君の一歳の誕生日ということもあり、参加者全員で「ハッピーバースデー」を歌って締めくくった。

 ぶんか小屋が散歩コースという藤岡陽子さんは、「お腹から声を出すのはいいですね。歌と歌の間のトークも楽しいですよ」と笑顔で話した。