さまざまな事情で困窮する若年女性を支援する一般社団法人「NOLIMIT(ノーリミット)旭川」が一月二十八日、市民活動交流センター・ココデ(宮前一ノ三)で活動報告会を開き、これまでの活動成果や旭川の現状について報告した。同法人は、支援のはざまに陥りがちな十八~二十九歳の女性を対象に、二〇二〇年から居場所事業などを実施している。

 はじめに事務局の小林秀高さんが旭川の現状を報告。「基本的な考えとして、人の置かれた状況は個人の資質よりも環境の要因が大きい」と述べた上で、旭川市のジェンダーギャップ指数や生活保護率の高さ、首都圏と比べた女性支援の少なさなどについて説明した。

 次いで、代表のYuki(ゆうき)さんが居場所事業の活動などについて報告。若年女性の困難は、経済的困難、関係性の困難、精神的困難が複合的に絡み合っていることから、同法人は関係性をメインにサポートしていると説明。月二回の「のーりみラウンジ」、「出張NOLIMIT」などの活動を紹介した。

 同法人は、気軽につながれることを大切にし、解決を主目的としない伴走型の活動をしているという。また、人間らしい生活のためには、単に「死ななければいい」というのではなく、楽しさや余裕も必要であることを強調。「支援=ほどこし」であってはならず、基本的人権が守られていないこと、公的支援の少なさや使いにくさこそが問題だと述べた。加えて、社会活動をする人や団体の少なさについても指摘した。

 現状への無理解や、活動に対するバッシングも多いとYukiさんは言う。「本当に困っている人なら何でもするはず」「どうやって就労に結び付けるのか」といった旧来型の考えで質問をする人がいたり、「東京の話?(旭川に困っている若年女性はいない)」といった誤解があることについても言及し、自立と就労はイコールではないこと、困っている人が明らかに困っている外見をしているわけではないことを指摘した。
 一方で利用者からは「久しぶりにおコメが食べられて良かった」「のーりみがあるから頑張ろうと思える」といった喜びの声があることも紹介し、報告を締めくくった。

 また、同法人が関わる「生理の貧困」の解消を目指すプロジェクト「Set Up Asahikawa(セットアップあさひかわ)」も活動を報告した。同プロジェクトは、「誰でも無料で使える生理用品」をコンセプトに、市内の商業施設などのトイレに生理用品を設置する活動を行っている。メンバーの宮坂舞花さんは、生理用品に関わる費用は生涯で約四十万円という試算もあり、女性の生理は貧困などと重なることで機会損失(本来できたはずのことができなくなる)につながると説明。「私たちの目標は、行政による施策の充実によって、このプロジェクトが必要なくなること。これからもより充実した施策や、現状実施している施策が適切であるかなどの検討を、市に要請していきたい」と述べた。

 報告会では、SLIDO(スライド=イベントや会議などでインタラクティブにQ&Aやライブ投票を行えるクラウドサービス)を活用し、アンケートを取ったり、参加者にコメントを求めて適宜応答するなどした。(岡本成史)