旭労連など九団体が加盟する旭川共同行動実行委員会(中村賢明実行委員長)は八日、市が二〇二二年から実施している、自衛隊への十八歳から二十二歳の市民の名簿提供について、違憲・違法の可能性がある(憲法第十三条「個人の尊重」や「個人情報保護法」などに抵触)として、旭川市に要請書を提出した。

 要請内容は以下の三点。①自衛隊への市民の名簿提供を中止すること、②どうしても提供しなければらない理由があるのであれば、該当する本人から事前同意を得る手続きを取ること、③同意を得るにあたって、説明文書、返信用封筒を添えた同意書を郵送するなどして、本人が趣旨を理解し、意思表示をしやすい方法を取ること。要請への回答の条件としては、名簿提供の根拠を明確にすることを求めた。

 要請書の提出後、出席した各団体の代表者や高校生の保護者らが、対応した市職員と懇談。同実行委に加盟する旭川平和委員会の由井久志事務局長は、「まず、該当する本人から同意を得るのが筋。多くの人が名簿提供の事実について知らないというのが実情で、まず周知することが市としての誠意だ」と訴えた。また新日本婦人の会旭川支部の高橋睦美事務局長は、「市民を守る立場の旭川市が名簿を作って提供するということは、信じられない。考え直してほしい」と述べた。石川厚子市議(共産党)も同席し、発言。市民広報での周知が、あいまいな表題の小さなお知らせのみで、わかりづらいことを指摘し、「『名簿を提供します』などのわかりやすい表題に変えるべき」と訴えた。また札幌市の事例を挙げ、「除外申請の期間延長は前ではなく後に」と要請した。

 要請書を受け取った市総務部の和田英邦部長は、「指摘を受け、二四年からは除外申請の受付期間を一カ月拡大し、紙以外での申し込み方法も設けることにした。要請は重く受け止めさせていただくが、個別の回答は控え、後日文書で回答したい」との今津寛介市長からのメッセージを読み上げた。

 同実行委の報告によると、昨年の六月から十一月の間に旭川駅前で行った街頭シール投票では、のべ百九十五人が投票し、そのうち八八・七%の人が名簿を提供していたことについて「知らない」と回答したという。また無断提供をどう思うかについては、七八・七%が「反対、または本人の同意を得るべき」と回答する結果となった。

 一方で、市民からの訴えによって市は二三年から名簿提供の除外申請の受け付けを始めたが、申請期間は一カ月と短く、周知も徹底されなかったことから、申請は十人にとどまっている。

 旭川平和委員会の由井事務局長は懇談後、「名簿提出が前提で除外申請を募るのでは、本来、話が逆。また除外申請の期間は二月からなのに、二月に周知を始めるのでは遅すぎで、到底周知をする気があるとは思えない。事務的に行えばいいというものではなく、きちんと伝えるためのアイデアを示してほしい」と語った。(岡本成史)