第三十二回旭川しんきん産業振興奨励賞の表彰式が十二日、旭川信用金庫本店で行われた。

 一般財団法人旭川しんきん地域振興基金(武田智明理事長)が一九九二年(平成四年)に創設し、旭川と富良野地区で、新技術・新商品、新サービス・新デザインなどの開発により産業振興に貢献した事業者を表彰している。

 今年度は応募のあった十五事業者の中から、振興賞にハルキッチン(岩淵亜夕子代表、東川町東十一号南四)、奨励賞に北海製麺(林典子社長、市内流通団地二ノ一)と、日本醤油工業(茂木浩介社長、市内曙一ノ一)。審査委員長賞に髙砂酒造(石倉直幸社長、市内宮下通十七)がそれぞれ選ばれ、表彰された。

 ハルキッチンは、二〇二三年一月から運営を開始した東川町初となるジビエ専用解体処理施設が授賞の対象。この施設が設置されたことで、同町で冬期に捕獲されたエゾシカの約半数を精肉できるようになった。

 北海製麺は、旭川産のブランド米「ゆめぴりか」を一〇〇%使用した米粉麺の製造が授賞の対象。独自で商品開発を進める中、試行錯誤を繰り返し製品化までたどり着いたのが、米粉麺「ひとゆめ」だ。授賞式では林社長が「多くの人に助言や協力を頂き商品化することができました」と感謝の念を述べた。

 日本醤油工業は、「しょうゆ圧搾用ろ布のアップサイクリングによる新商品開発事業」が授賞の対象。長い社歴の中で残されてきた使用済みの「ろ布」をアップサイクル(リサイクル)できないかと、近藤染工場(一ノ三)に相談。アドバイスを得てトートバッグやカードケースなどに生まれ変わらせた。

 髙砂酒造は、旭農高と共に行っている「旭農高日本酒プロジェクト」が授賞の対象。現在は三期目のプロジェクトがゴールを迎える中、石倉社長の代理で式に出席した宮崎徹常務が「次世代の生産者になりゆく学生に酒米の知識や日本酒文化を伝え、酒造りを未来へつなげていく産学連携プロジェクトです」と説明した。

 式では、審査委員長の竹中英泰・旭大名誉教授が、授賞した四点を講評。武田理事長がそれぞれ賞状と盾、賞金を贈った。(工藤森)