髙砂酒造(宮下十七)の蔵人たちが十八日、美瑛町美馬牛の山中で、雪の中から原酒を入れたタンクを掘り出す作業に汗を流した。

 「雪中貯蔵」は搾りたての原酒をタンクごと雪の中に埋めて、約百日間低温熟成させる、北国ならではの貯蔵法だ。タンクが雪に覆われるため、タンク内の温度がマイナス一℃前後に保たれる。この貯蔵法で熟成された酒は、通常の熟成方法よりもまろやかな仕上がりになるという。同社では一九九七年(平成九年)から毎冬行っている。

 今年は一月五日に七㌔㍑のタンク二本にそれぞれ「純米酒 大雪」、「純米吟醸酒 大雪」を詰めて、雪囲いを行った。当初は百日間貯蔵して掘り出す予定だったが、今年は雪解けが早く進んだことから予定よりも約二週間早い掘り出し作業となったこの日、六人の蔵人が手作業で掘り出した。

 タンクが掘り起こされさっそく利き酒をした同社の杜氏・森本良久さん(55)は、「毎年、最初のテイスティングは緊張しますが、今年もスッキリとした辛口の酒に仕上がっていて安心しました。貯蔵当初から雪が多く状況が良かったと思います」と自信をのぞかせた。

 二種の酒は加水され瓶詰めされた後に、「純米酒 大雪」は四月十九日(金)から、「純米吟醸酒 大雪」は四月以降に二〇二三年出荷分が無くなり次第、順次本年出荷分に切り替わる予定だという。(工藤森)