4ノ15銀座デパート1F・TEL74-5977

 昭和のレトロな雰囲気が漂う十五丁目、銀座商店街。中でもひときわ歴史を感じさせる「銀座デパート」の一階に、黄色いピカピカの看板があります。本日は「旭川スープ焼きそば モーヤン」さんにお邪魔しました。

 店主の田中智久さん(69)はラーメン店に十五年勤めた職人。「七十歳までには好きなことをやりたい」と今年六月、かねてからの夢だったスープ焼きそばの店をオープンしました。御当地グルメ、B級グルメが好きで、開店の前には車で本州へ渡り、全国のB級グルメを食べ歩いたそうです。

 スープ焼きそばは、栃木県の塩原温泉や青森県黒石市の「黒石焼きそば」などが有名とのこと。目の前で焼いてくれるジュージューといい音。専用の器に盛られた「スープ焼きそば」(六百円)を、いただきます――。

 そのままでも、スープに付けてもいいそうなので、まずはそのまま。たっぷりの野菜のシャキシャキした食感と、醤油とウスターソースで味付けした、少し太めの香ばしい麺。アサリやエビに、目玉焼きと豪華です。ビールを頼みたいところですが、続いてスープへ。

 そのまま飲んでも温まる味わいの鶏ガラと塩味のスープ。さて麺をつけると意外なこと、麺の食感はそのままにダシの味わいが加わりました。さらに食べてるうちに焼きそばのソースがスープに溶けだして香ばしく変化します。

 近ごろ話題になっている、貧困家庭や忙しい家庭の子どもに、無料または格安で食べさせてくれる「子ども食堂」も始めてみるとのこと。「このあたりに子どもはいないけど、小中学生が一人で来たら、無料で提供しますよ」と田中さん。「人生最後の賭けと腹を決めて店を出したので、面白く、ためになることもやっていかないと――」。

 不定休。午前十一時から午後七時まで。
(取材・太野垣陽介記者)

ケロコのひとことメモ

 「スープ焼きそば」と聞いた時、頭は?。好奇心いっぱいで行ってきました。

 出て来て納得、焼きそばのつけ麺です。スープだけでもおいしいし、焼きそばだけでもおいしい。組み合わせる必要あるのかなとブツブツ言いながら、食べてみると「なるほどこう来たか」という感じ。

 この料理のいいところは、スープだけ、焼きそばだけ、そしてつけ麺にして三通り食べられること。あんかけ焼きそばだってスープにつけちゃう。一度は食べてみるべきです。店主との会話も楽しいですよ。ぜひ、行ってみて下さい。

2015年12月08日号掲載