豊岡5ノ2・TEL73-7886

 豊岡の飲み屋街にある「ビストロ くんぷう」さんにお邪魔しました。

 木目調の小じんまりした店内が、いかにもおいしい洋食屋さん、といった雰囲気。

 今年三月に開店しました。オーナーシェフの深川薫さん(25)が一人で切り盛りしています。メニューを見ると「道産牛のタンシチュー」(千三百八十円)や「オムハヤシライス」(千円)と、見るだけでよだれが出そうな品々。「付け合わせのパンまで手作りで無添加、既製品を全く使っていません。大変でしたけど、内装もまで全て手作りしました」と笑う深川さん。

 まずは「レバー嫌いだと言うお客さんがいたら、絶対勧めているんです」という「パテ・ド・カンパーニュ」(七百五十円)をいただきます――。

 しっとりした食感に、ハーブの香り。臭みのないレバーの奥深い味わいと、粗挽き豚肉の食感。これは、いつまでも口に入れていたい味です。

 季節限定の「サロマ産カキとキノコのグラタン」(千百円)。アツアツをほおばると豊かなキノコの香りに、カキのダシがたっぷり馴染んだホワイトソース。なんとも幸せな気分に、思わず笑顔になる逸品です。

 深川さんは旭川生まれ、旭川調理師専門学校を卒業後、洋食店での勤務を経て独立。「元々、二十五歳で独立と決めていたんです。店名の『くんぷう』は、初夏の季語に自分の名前(薫)をかけて薫風(かおるふう)、自分なりに、という思いから付けました」。飾らず、自分らしく、洋食のおいしさを追求する。そんな姿勢を感じたのでした。

 日曜定休(年内は三十日まで無休)。午後五時半から午前二時(ラストオーダー同一時)まで。
(取材・太野垣陽介記者)

ケロコのひとことメモ

 若者が独立して、1人で頑張っている姿を見るのはとても気持ちのいいものです。ウワサを聞いて訪ねてみると、雰囲気もとてもいいの。

 お勧めを聞くと、道産牛のタンシチューというので注文。3日間じっくり煮込んでいるというだけあって、本当に柔らかい。ソースも食べやすいおいしさ。

 もう1つは鶏白レバーパテ。これはレバーが苦手な人も大丈夫。スープとキッシュも丁寧に手間暇かけて作っているのが伝わります。そして1人でやっているのでリーズナブル。年末年始の集まりに、ぜひ行ってみて下さい。

2015年12月15日号掲載