神居3ノ18 サンストリート1階・TEL61-8700
昨年十二月、神居に移転リニューアルしたお蕎麦屋さん「をん坐」さんにお邪魔しました。
豊岡でも人気のお蕎麦屋さんでした。移転してからは、以前からの常連さんに加え、近くの住宅街からのお客さんも増えたそうです。
入ってすぐ右手に、ガラス張りの部屋が見えます。この部屋では、ご主人の田中壽則さん(65)が蕎麦を打っています。種類は、更科の「白」、殻ごと挽いた「黒」、甘皮ごと挽いた「緑」から選べるんです。蕎麦粉は、もちろん上川や幌加内など近郊産です。
「きょう思い付いたばかりなんだけど」と田中さん。やってきたのは温かい「すだち蕎麦」(千百円)。これまで冷たいのは出していたそうですが、ふと思い付いて作ってみたら、奥様と「うまい!」となり、メニューに加わったとのこと。「のびないうちに、どうぞ」と勧められ、早速いただきます――。
食べる前からすだちの爽やかな香りが心地良い。ズズッとすすると、温かいお蕎麦に、爽やかな酸味がマッチしています。そして、食べているうちに、どんどん体が温まる感じ。「ビタミンCたっぷりなので、風邪予防にもいいね」。お言葉通り、とっても身体中に沁みわたる味です。細くきれいな麺は、噛みごたえもあり、ツルッとした舌触りが心地よく、あっという間にごちそうさまでした。
お蕎麦のメニューは「鶏もつ」や「にしん」、「はまぐり」などと豊富ですが、お酒のつまみも居酒屋さん並みに揃っています。蕎麦屋さんならではの「そばみそ」(四百円)「そばがき」(千円)、なんと焼き鳥や鍋まであります。
「お酒の種類は数えてないけど、四十~五十種類はありますよ。北海道には少ない、酒を飲む蕎麦屋の文化を広めたいんです。とにかく、お客さんにはぜひウチでお酒を楽しんで欲しい、ここは強調して書いて下さいね、ハハハ」。
年に四、五回、噺家や講談師を招いてお店で高座を開いています。落語や講談を楽しんで、終わったらお酒を味わって、蕎麦でシメて…と、なんとも粋なお蕎麦屋さんなのでした――。
火曜定休(祝日により変動あり)。営業時間は昼が午前十一時半から、午後二時半ラストオーダー。夜は午後五時半から九時半ラストオーダー。(取材・太野垣陽介記者)
ケロコのひとことメモ
「豊岡の『をん坐』、やめちゃったの?」と何人に聞かれたことでしょう。私が何でも知ってると思ってるみたい…ですが、知っています! 神居に移転しました。
内装がオシャレに、落ち着いた雰囲気になりました。私が好きなお蕎麦は、更科の白い麺。温かいお蕎麦の時は挽きぐるみの黒かな。もつ蕎麦と鶏つくねせいろが好き。すだち蕎麦の爽やかさも忘れられません。
落語会も楽しみです。終わってから食べる玉子焼き、手作り豆腐に天ぷら…まだ行ったことがないという方、ぜひ行ってみて下さい。