「ちょろちょろと落ち着かない」「人の話を最後まで聞かない」「待つことが苦手」「せっかちで、すぐにいらいらしてしまう」…。てんとうむしの会のパンフレットには、AD/ HD(注意欠陥多動性障害)の子どもに見受けられるという特徴が書いてある。またLD(学習障害)の特徴としては「聞き間違いがある」「適切な速さで話すことが難しい」「読みにくい字を書く」「計算するのにとても時間がかかる」などが挙げられている。

 子どもにならば、いや大人であっても、誰にでも一つ二つは該当しそうな事項だ。パンフレットにも「不注意、多動性、衝動性という言動は、実は多かれ少なかれ、誰にでもあるのです」とある。果たして、障害という名のレッテルを子どもに貼ってしまって良いものか。

 AD/ HDやLDは知的障害ではなく、発達障害と言われる。医療機関では、前述の項目に六個該当すればAD/ HDと診断するなどの基準があるようだが、実際の診断では、該当数によってではなく、本人や家族など周囲の「困り度」が基準になっているという。

画像 会の代表の千葉智恵美さん(38)は「その子の苦手な部分を正しく支援してあげたいがために、親はAD/ HDやLDであるとの診断を受けさせるのですが、現実的には『障害』という言葉のイメージが強くて、正しい理解がされずに、周囲にマイナスの目で見られてしまう」と話す。そうした現状から、診断を受けても、一切オープンにしないケースも多々あるという。

 現在、同会には旭川市内や近郊に住む十七人の会員がいる。周囲に正しい理解を浸透させたい、という共通の願いを持って、三年前に四人の母親が集まって発足した。会員の子たちにはAD/ HDやLDがあるが、全員が普通学級に通っている。

 「一番怖いのは『二次障害』」と千葉さんは言う。AD/ HDやLDそのものよりも、いじめや疎外、そしてそれを原因とする不登校、学業不振などが、子どもにとって最も大きな問題なのだと言う。「二次障害を防ぐため、周りの方の理解を少しでも深めて、一人ひとりの子どもたちに合った支援をしていける環境になれば」と話している。

 てんとうむしの会への問い合わせは千葉さん(電話34―4366)へ。