二〇〇九年の全国ロードショー公開を目指して二月から撮影が始まった「旭山動物園物語 ペンギンが空を飛ぶ」(津川雅彦監督)のロケが二十三日、旭川市議会の本会議場で行われた。
テレビドラマやドキュメンタリーにもなった旭山動物園の“サクセスストーリー”が初めて映画化される。NHKのテレビ番組「プロジェクトX」を見て、旭山動物園に感銘を受けた俳優の津川雅彦さんが、自らがメガホンを取り、“生命の物語”を描く。
角川映画の製作・配給で、西田敏行が園長役を務めるほか、長門裕之、柄本明などが出演する。
ストーリーは、入園者数の減少や人気者のゴリラがエキノコックス症に感染し突然死亡することで、閉園の危機に追い込まれていた旭山動物園が、“奇跡の動物園”として復活するまでの物語。園長と飼育係が「真の動物園とは何か」を真剣に語り合う中で、独自の展示法を考え、さまざまな試練と苦境を乗り越えて行く姿をリアルに映し出して行く。
本会議場での撮影には、現職の市議会議員二十八人のほか、市の幹部職員二十九人と一般市民五十六人がエキストラとして参加。年間約三億円の赤字が続いている動物園を民間に委譲すべきとする議員の質問に対し、市長役の俳優が「検討する」と約束するシーンをメーンに撮影が行われた。
現職議員が数多く参加したことで、議員の質問に「そうだそうだ」あるいは「そう思っているのはあなただけだ」などの激しい“不規則発言”も飛び出し、本会議場には臨場感が漂っていた。
議会事務局は「本当の議場が映画に登場するのは、全国的に見ても例がないと聞いている」と話している。