デビューの地・中京競馬場で今年を締めくくる予定の丸ちゃん。中京競馬初日の十二月十三日(土)には、中日新聞杯に出走。これが記念すべき重賞初騎乗となった。パドックでマイネルスターリー号に跨った表情からは、さほど緊張も感じられず、普段通りの丸ちゃんに見えた。レースでは、好位の外目を追走し、直線でジリジリと伸び、二着からは僅差の七着。重賞初騎乗にしてはまずまずだったのではないかと思う。

 土曜日は九鞍騎乗して、二着二回と勝てずに終わったが、壁にぶつかっていた十一月の福島の一、二週目に比べると、レース内容は段違いに良かったので、心配無用と思ったのだが、日曜日は予想以上に絶好調で、6、7、8Rと三連勝。一日三勝を挙げたのは初めてだし、三つ続けて勝つのも初めて。ウイナーズサークルに記念写真を撮りに現れるたびに、顔は緩み、笑顔があふれる。ファンからサインを求められると「あまり時間がないんですけど」と言いながら快く応じ、途中で切り上げる時も「(ウイナーズサークルに)また来ます!」と、軽い足取りで去っていく。丸ちゃん、ノッてるなあと、こちらの顔も思わず緩んだ。結局この日は十鞍騎乗中、三勝二着一回、四着一回の好成績だった。

 週が明けて木曜日に、美浦トレセンで丸ちゃんに取材。私が質問をしないうちに、土日に乗ったレースを一鞍一鞍振り返り「走りが軽くていい馬なんですよ。もう一回乗りたいなあ」とか「馬はすごく良かっんですけど、1コーナーで前に他の馬に入られて、無理に引っ張ったから変な格好で走っていた。あんな乗り方してたらダメだよなあ」など、馬の印象や反省点などを次々にしゃべり出した。

 聞いていると、どんなに着順が悪かったレースでも、たいてい馬を褒めている。「どの馬も良いと思っちゃうんですよねえ」と本人。それは多分、一頭一頭を大切に乗り、その馬の良いところに気づこうとして乗っているから。騎乗数が増えてくると、好走する可能性のない馬は手抜きして騎乗する騎手もいると聞くが、丸ちゃんには、いつまでも今の姿勢を大切にしてほしい。

 さて三連勝の内訳だが、6Rの牝馬は十三番人気と人気薄だったが、レース前からある程度やれる手応えは感じていたと言う。7Rは一番人気。関西の有名厩舎から依頼されての騎乗。「(馬が)強かった。言うことないです」と馬の力が違ったことを強調。三勝目は「走る馬ですからね。レースも思い通りにうまくいきました」と、こちらは本人的には快心の騎乗だったようだ。

 残るところ今年の競馬もあと一週となった。「競馬に乗っていて楽しい」と、気持ちの面でもかなりノッている丸ちゃん。果たして中京競馬最終週にはどんな騎乗を披露してくれるだろう? 私も二十八日には、中山競馬場での有馬記念を捨てて、中京競馬場で丸ちゃんのレースを見守るつもりだ。

【訂正】十二月九日号「丸ちゃん通信」の中で、丸田騎手の成績について「本年度三十勝、通算二十七勝」とあるのは「本年度二十七勝、通算三十勝」の誤りでした。訂正します。

ウイナーズサークルでファンにサインする丸ちゃん。この日は顔が緩みっぱなしでした