混声合唱組曲「悪魔の飽食」の北海道公演混声合唱組曲「悪魔の飽食」の北海道公演が二十四日、市民文化会館大ホールで開かれた。

この曲は、旧日本陸軍七三一部隊の行った非人道的な人体実験を、合唱の形式で歌い上げる。森村誠一氏の原詩を、作曲家の池辺晋一郎氏が“編誌”し、曲を付けた。一九八四年(昭和五十九年)に初演。九五年(平成七年)から全国縦断コンサートとして開催され、今公演で二十回目を迎えた。開催地で市民合唱団を組織し、ボランティアで参加するという特徴がある。指揮は池辺氏自身が行っている。

今回、北海道公演のために組まれた合唱団には、道内から二百三人、道外からも百六十九人が参加。合わせて三百七十二人という巨大合唱団となった。

会場の文化会館大ホールは満員となり、立ち見も出るほど。三百五十人を優に超す合唱団はその声量、存在感ともに圧巻だった。

七三一部隊では、外国人捕虜を「マルタ」と呼んだ。ロシア人母子のマルタが毒ガス実験で殺される場面を描く第五章「三十七年目の通夜」が演奏されると、観衆の中にはハンカチで涙を拭う人もみられた。

約三十五分の演奏を終えた合唱団には、会場から割れんばかりの拍手が送られた。池辺氏と合唱団はアンコールに応え、第三章「赤い支那靴」を演奏。一際大きな拍手が会場を包んだ。