童謡詩人金子みすゞ(一九〇三~一九三〇)の詩を愛する市民でつくる「旭川みすゞ会」(村田和子代表)が設立から十周年を迎え、六月五日午後三時から、旭川大雪クリスタルホール音楽堂(神楽三ノ七)で記念の集いを開く。

 集いには、埋もれていた金子みすゞの詩を世に送り出した児童文学者で金子みすゞ記念館の矢崎節夫館長、『ちいちゃんのかげおくり』など小学校の教科書に採用されている作品を数多く書いている児童文学者・あまんきみこさん、金子みすゞの長女・上村ふさえさんが参加。旭川市内の女性合唱団「それいゆ」(河野敬子代表)がみすゞの詩による歌を披露する。

 東日本大震災直後から民放テレビで、みすゞの詩「こだまでしょうか」がACジャパンのコマーシャルで流れた。「遊ぼう」っていうと/「遊ぼう」っていう/「馬鹿」っていうと/「馬鹿」っていう。/「もう遊ばない」っていうと/「遊ばない」っていう。/そうして、後で、/さみしくなって、/「ごめんね」っていうと/「ごめんね」っていう。/こだまでしょうか、/いいえ、誰でも。(金子みすゞ全集より・JULA出版)

 この詩は多くの人々の心を揺り動かした。

 同会は二〇〇〇年に旭川文化会館で開かれた「童謡詩人金子みすゞの世界展」をきっかけに、みすゞの詩や短い生涯の生き様に共感した市民らが集まり、翌年設立された。

 代表の村田さんは「大震災があったことから、開催断念も考えたのですが、矢崎さんに『大震災を自分のこととして受け止め、出来ることを少しでも始めていきましょう。そしてなにより、こういう時だからこそ、私たち一人ひとりが、きちんと日々を過ごすことでしっかりとこだまし合いたいと思います』と励まされ、開催することにしました」と話す。

 入場料は大人千五百円(当日千八百円)、中高校生八百円(同千円)、小学生以下無料。チケットは大雪クリスタルホール売店などで販売している。会場には被災地支援の募金活動もおこなわれ、入場料の収益と合わせて義援金とする計画だ。

 また、被災地支援を目的に金子みすゞ顕彰会(黒瀬治郎理事長)を立ち上げた。募金に賛同する人は、郵便為替(口座番号01350―4―65024、特定非営利活動法人 金子みすゞ顕彰会、通信欄に「こだまでしょうか」募金と記入)で。

 十周年記念の集いなどの問い合わせは、みすゞ会事務局の村田さん(℡22―3567)まで。