六月三十日に刊行された「現代作家代表作選集 第1集」(鼎書房)=写真=に、西川徹郎文学館館長の斎藤冬海さんの短編小説が収録されている。斎藤さんは、あさひかわ新聞でエッセイ「街角のスフィンクス」を連載している。

 斎藤さんの掲載作「ティアラ」は怪奇小説。主人公の歌穂が、新しい恋人の部屋を訪れると、押入れにティアラという名の少女の人形があった。しかし、優雅で美しいその人形の顔には、目や鼻や口が無く、代わりに深く暗い縦型の亀裂がある。実は性欲の権化だったティアラは、恋人の生気を吸い尽くし、やがてその妖気は歌穂にも及んでいく――。

 同書は斎藤さんのほか、地道な執筆活動を続ける作家七人の短編を収録している。千六百円(税別)。ジュンク堂旭川店で扱っている。