小熊秀雄朗読会「冬の詩(うた)二〇一四」が十五日夕、珈琲亭「ちろる」(三ノ八)で開かれ、約五十人が小熊の世界を堪能した。

 コーヒーを飲みながら旭川ゆかりの詩人、小熊の作品にもっと親しんでもらおうと、小熊秀雄賞市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が行っている連続企画。十回目となる今回は、昨年十一月に八十六歳で亡くなった詩人「辻井喬さんをしのんで」のサブタイトルが付けられた。小熊が暮らした戦前の雰囲気を漂わせるクラシックな店内には、辻井さんの遺影や著書が飾られた。

 辻井さんの本名は堤清二。セゾングループを率いた実業家として知られる。市民実行委が小熊秀雄賞の運営を引き継いだ第四十一回(二〇〇七年度)から四十四回まで選考委員を務めた。

 選考に真摯に取り組んだ辻井さんの姿を思い浮かべながら、実行委の高田雍介事務局長が「辻井さんと私たちの会のこと」と題して話し、運営委員の石井ひろみさんが辻井さんの「新しい年の手紙」(詩集『鷲がいて』より)などの詩作品を朗読した。

 このあと、西朋子さんが童話「焼かれた魚」、中辻明さんが「空の青さと雲の白さのために歌う」、福田洋子さんが「小松の新芽」などをそれぞれ個性豊かに朗読した。

 実行委によると、今年の小熊賞への応募作品は昨年と同じ百八点。最終選考会は四月六日午後、市内高砂台の旅館「扇松園」で行われ、会員に公開される。