物理学者の佐治晴夫さん=写真=が金子みすゞ(一九〇三~一九三〇)の詩を科学的な視点から語る講演会が二十八日(土)午後六時半から、大雪クリスタルホール(神楽三ノ七)で行われる。旭川みすゞ会(村田和子代表)の主催。

 佐治さんは「1/fゆらぎ」の理論を扇風機などの家電製品に応用したり、家庭用ビデオのVHSの三倍モードを開発するなどした科学者。NASAの客員研究員も務め、探査機ボイジャーに積むメッセージ・レコード(バッハのプレリュード)を選定したことでも知られる。

 佐治さんは自他ともに認める金子みすゞのファン。金子の作品について「詩でありながら論理的」と評している。

 対談集「金子みすゞをめぐって―みすゞトーク1」(JULA出版局)の中で佐治さんは「明と暗や、裏と表で書いておいて、最後にバシッと決める…落語のオチのように。そこがやはり爽快ですよね」と語っている。

 爽快な作品の一例として佐治さんが挙げるのが『さびしいとき』。

 「私がさびしいときに、よその人は知らないの。/私がさびしいときに、お友だちは笑うの。/私がさびしいときに、お母さんはやさしいの。/私がさびしいときに、仏さまはさびしいの。」

 佐治さんは、最後の一文「私がさびしいときに、仏さまはさびしいの。」について「あのひっくり返しはものすごい」「数学を解くときの感触とまったく同じ」と論理性を見出している。

 金子みすゞの大ファンでありながら、佐治さんは科学者らしく、「“金子みすゞ教”になっては困ります」とも語る。「科学の目で、『実はこういうことをいいたかったのだ』ということをいわせていただくのが、ぼくの役目かなという感じがします」。

 当日は佐治さんが監修した映像作品「宇宙はなぜ美しい」も上映する。宇宙、科学の視点から金子みすゞの作品を解き明かす、興味深い講演会になりそうだ。

 講演会の入場料は大人千五百円、高校生以下千円(当日五百円増し)。チケットの問い合わせなどは村田さん(℡22―3567)へ。