出羽勝(でわ・かつ)さんの「私の裂織」展が、こども冨貴堂(七条買物公園)ギャラリーキッズで開かれている。
出羽さんは七十歳。二十年前、織物教室に通い始めたのがきっかけで、裂織と出会った。古い着物などを裂いて織り上げる伝統的な布に魅せられて、自宅でコツコツと織りためた作品を展示するのは、五年前に続いて二回目。
会場には、横百二十㌢、縦百六十㌢の大作三点を始め、ショルダーバッグやタピスリーの裂織の作品のほかに、柿渋やよもぎ、藍を使って染めたマフラーなども展示している。
新潟県の生まれの出羽さんは十人兄妹の末っ子だという。「故郷の姉が定期便のように古布を送ってくれます。破れたり、薄くなった布には、つぎはぎがあって、昔の人は本当に布を大切にしていたのだと分かります。よくぞ、今まで残っていてくれたねと、感謝しながらハサミを入れるんです」
自宅に近い嵐山の野草や動物をモチーフにした優しい作品に目を引かれる。ヤチブキ、カタクリ、オオバナノエンレイソウ、キタキツネ、ヒグマ、エゾシカ、そしてカエルの卵…。
長い間人の肌を温めてきただろう布たちが、細かく裂かれて糸になり、出羽さんの手で新たな命を吹き込また作品たち。古いものっていいな、こんな暮らしが好きだな、みんなつながっているんだな、そんなホンワカとした気持ちにさせてくれる小さな展覧会だ。
入場無料。二十八日まで。午前十時から午後六時(最終日は午後四時)まで。問い合わせは、こども冨貴堂(℡25―3169)へ。